hirax.net::コピー機と微分演算子::(1999.06.10)

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電子写真プロセスを分数階微分で解いてみよう

 前回、
ゼロックス写真とセンチメンタルな写真- コピー機による画像表現について考える - (99.06.06)
の中で、電子写真プロセスは「画像のエッジ部分が黒くなり、そうでないソリッド部分は画像が飛びやすい... 画像のエッジ部分、すなわち、電位変化が大きく、電界強度の高い部分に対してトナーが現像されやすい... 」という文章がある。この脈絡は何か見覚えがないだろうか?そう、
分数階微分に基づく画像特性を考えてみたい-同じ年齢でも大違い-(1999.02.28)
の中の、「人間が画像を感じる特性というものは、画像強度と画像強度変化(画像強度の一階微分)の中間的なものであると言うことができるかもしれない。」という文脈と似ている。また、「ゼロックス...」の回での(昔の)電子写真の特徴、

  • エッジ強調される。
  • 細かいところはボケてしまう。
といった特徴は、これも「分数階微分に基づく...」での画像特性と良く似ている。これら2回の話は今回の話のための伏線だったのである。というわけで、今回はコピー機と分数階の微分演算子を強引に結びつけて考えてみたい。すなわち、電子写真プロセスを分数階微分で解いてみたい。

 参考までに、以前の話のときに用いた画像を示しておく。

まずは、
ゼロックス写真とセンチメンタルな写真- コピー機による画像表現について考える - (99.06.06)
における(昔の)モノクロコピーを模したものである。

昔のモノクロコピー機を模したもの(左はオリジナル、エクタクローム100で撮影)
 そして、こちらが
分数階微分に基づく画像特性を考えてみたい-同じ年齢でも大違い-(1999.02.28)
の際に解析した元画像と0.75階画像である。ただし、この解析は2次元解析ではなく、1次元における計算を回転させて、中心対称な画像を作成している。その理由は前回述べたので今回は述べない。
左が元画像、右が0.75階微分画像

 それでは、解析を始める。まずは、Photoshop5による「(昔の)コピー機シミュレーション」である

左が元画像、右がPhotoshop5で「コピー」プラグインをかけたもの

 次が、分数階微分画像だ。今回もMathematicaを用いて計算している。検算が終了したら、Notebookも公開予定だ(実は検算が終了していないのだ...)。

左が元画像、右が0.75階微分画像

 胸を張って「似ている」と断言するつもりはないが、少しは似ているのではないだろうか。別に似るまでがんばっても良いのだが、この分野の話はあまりやりすぎるわけにはいかないのである。ということで、強引ではあるが、今回の話の結論は「アナログコピーはオリジナルコピーの0.75階微分だ」というところで終わらせてもらう。
 今回は、コピー機によるコピーを微分演算子と結びつけてみたわけだが、複数回のコピーに適用してみると面白いだろう。例えば、孫コピーは0.75+0.75階微分=1.5階微分であるとかだ。

また、同じ現像プロセスといっても色々あるわけであるから、各現像方式により微分演算子の階は異なるのが適当だろう。例えば、この機械は0.8階微分(つまりほとんどエッジ現像)であるが、こちらの機種は0.05階微分(極めて元画像に近い)で再現性に優れる、などという論議もできるかもしれない。

 ところで、某所で今回の話と似て非なる話がCoffeeBreakとして公開されている。しかし、そちらは一般公開されていない。というわけで、今回は分数階微分の第3話ではなく、第4話ということになる。STARWARS風に言えば、Episode4だ。STAR WARSのようなSF映画もそうであるが、こういった話は生物(なまもの)である。ずっと置いておくと腐ってしまう。「腐ってこそ美味い食べ物もある」、という反論も聞こえてきそうだが、そういったものは少数の例外である。味オンチの料理人の作ったものではあるが、どうか賞味期間内に味わって頂きたい。

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