hirax.net::inside out::2008年01月20日

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2008-01-20[n年前へ]

『「暮らしの手帖」の料理記事』の作り方 

 丸谷才一編集の「恋文から論文まで - 日本語で生きる・3 -」(福武書店)に収録されている文章と言えば、小榑雅章が書いた『「暮らしの手帖」の料理記事』も新鮮だった。

 暮らしの手帖の料理記事は、まず専門の料理人に実際に作ってもらう。その際、編集部員が傍らで材料や分量、調理の具合などを見聞きして、記事に仕立てる。つぎにその記事を手本にして別の記者が試作する。記事通りに出来るかどうかチェックするわけだ。
 編集長の花森安治の指揮のもとで、こうやって記事を作り上げ続けた結果、「暮らしの手帖の料理記事は、書いてあるとおりやると、ちゃんと出来る」という評価が定まった、という。

「海」と「椅子」 

 冬の田舎の海沿いには、こどもと中国人しかいない。春から秋までの間は、こどもと中国人に加えて、カップルと年老いた人たちもいる。

 田舎道では、色んな「椅子」がそこらかしこに置いてある。寒くない季節には、年をとった人たちが、いつもその椅子に座り、目の前の景色をずっと眺めている。中学生や中国人が、自転車に乗って、椅子の前を風のように通り過ぎていく。

 空から地上を照らす太陽は一時間に15度ほど動く。太陽が地面に形作る影は、正確な日時計となって、ただただ流れる時間を示している。

 椅子の前を、自転車に乗った人や、木々や、防波堤の影だけが動いていく。

冬の海冬の海冬の海冬の海冬の海冬の海