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2008-03-17[n年前へ]

みんな「ゆびピアノ ドレミくん」で遊んでる。 

 ふと気づくと、「ゆびピアノ ドレミくん」を色んな人たちが買っている。「ゆびピアノ ドレミくん」を手に入れて、みんな色んな遊び方をしている。

 「ゆびピアノ ドレミくん」を駅前の本屋さんで、思わずキャッシャーに持って行き、そして、幸せそうにしている人がいる。パラレル・インターフェースでPCに繋ごうと考えて、「パラレルなんて、今時、そんなレガシーなI/F?を使うんですか?」と突っ込まれ、落ち込んでいる人もいれば、USBで「ゆびピアノ ドレミくん」をPCに繋ごうとしている人もいる。…と思えば、「今時モルフィー?やっぱり、標準ヒューマン・インターフェース・デバイスで繋ぐのがデフォルトでしょう?」と突っ込んでいる人もいる。

 そんな風に、「ゆびピアノ ドレミくん」を色んな人たちが買っている。「ゆびピアノ ドレミくん」を指先につけ、思うままに色んなメロディを奏でたり、それぞれの電子工作をして楽しんだりしている。みんな「ゆびピアノ ドレミくん」で遊んでる(今日の演奏は「メリーさんの羊」)。

小学一年生付録の「どこでもゆびピアノ・ドレミくん」を分解してみた どこでもゆびピアノ ドレミくんが我が家にやってきた






2008-05-23[n年前へ]

『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』 

 「個性溢れる11人の経済学者の方々に話を聞く」という趣旨の本、『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』が発売されました。大竹文雄・玄田有史・友野典男・松原隆一郎・小島寛之・奥村宏・西村和雄・森永卓郎・中島隆信・栗田啓子・中村達也という、11人の経済に関わる方々が、ものわかりの悪い生徒に実に丁寧に教えてくれたこと、その内容が本になりました。

 本書には、一般の方々や経済学者の方々のアンケートから、「経済学者」「一般のひと」がそっくりだけれど、ほんの少しだけ違う姿が浮かび上がり、「豊かになるために必要なもの」をクラスタ分析した結果から、「希望とか自由とか愛」といった見えないものの繋がりを眺めたりすることができるオマケもついています。また、産業・科学や芸術・宗教といった歴史背景と、経済学の世界地図の上に時系列で並べた「歴史年表」もついています。

 豊かになるために、小島先生はたくさんのものを選び、(「若い頃は時間があるけれど金がなかった。今は時間だけが必要…つまりは年をとったということです」といった言葉とともに)大竹先生と友野先生は時間だけを必要とし、森永先生は「愛」だけを選びました……

 一般の方々や経済学者の方々へのアンケート結果、そこに記された言葉を眺めていると、不思議なほど私たち自身(そして私たちの分身のような経済学者の方々)の姿が見えてきます。そんな私たち自身の姿・私たち自身が望むことを眺めつつ、経済学者の先生方が話すこと読むのも、一興かと思います。

理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く!






2008-05-24[n年前へ]

続・『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』 

 クールビズ・ウォームビズの効果に関するシミュレーション記事の「原稿料の分け方」を飲み屋で話したことをきっかけとして、『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』は生まれました。

 私が授業を受けた11人の経済学者の先生たちには、2つの特徴があったように思います。1つは、ものごとを色々な方向から眺め一種冷めた考え方もする、ということでした。そして、もう1つは、多くの人と同じように、先生方の仕事への熱意は「素朴で単純な」暖かな気持から生まれているのかもしれない、と感じたことです。つまり、クールな頭とウォームな心が混じりあっていた、ということです。
  「はじめに」

 単行本にするにあたり、コラム(今気づきましたが、p.217のフローチャート中の「上がる」「下がる」が逆になっていました)や読んで欲しいと感じた本の「ブックガイド」を書き足しました。インタビューから少し時間を経てから書いたものですが、その分、少し漬かっていて味が深まっていると良いな、と願っています。

 何より大変で、なおかつ、何より一番新鮮だったのが「経済学者の先生方に行ったアンケートの集計作業」でした。「好きな経済学者とその理由」「分数もできないみんなの判断でも”正しい”ことが多いと思うか?」「豊かになるために必要なものは何ですか?」という3つの拙い設問に対して書かれた言葉は、本当にどれも新鮮に感じたのです。記事中で先生方が語った言葉をアンケートに書かれた言葉とともに読み直したい。改めてその言葉を聞き返したいと強く感じさせられました。

 「経済学の目的はみんなを幸せに豊かにすること」だといいます。それならば、「幸せ・豊かさ」とは一体何なのでしょうか。そんな「豊かさ」というものは、人が自分自身で見つけ出すしかないのかもしれません。そんな「豊かさ」は少し「孤独」と似ています。
 最終ページ 中村達也著「豊かさの孤独」に対する紹介文

『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』






2008-05-25[n年前へ]

続々・『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』 

 『理系サラリーマン 専門家11人に「経済学」を聞く! 』を出す際に、200人の人たちに「あなたが豊か・幸せになるために必要なものは何ですか?」と尋ねてみました。右に走り書きしたような「自由」「お金」「食べもの」「時間」といった選択肢を並べ見せながら、その人が豊か・幸せになるために必要なもの、を尋ねてみたのです。

 そして、amazonで表示される「お勧め本」やはてなダイアリの「お勧めページ」を算出するのと同じように、つまりはその選択肢を選んだ人の重複度合いなどを計算し、クラスタ分析をした結果の樹形図が右のようになります。右の図ではA,B,C……などのように記号で書いたありますが、もちろん、本の中でもアルファベットが書いてあるわけではなく、「お金」「睡眠」「時間」といったものがクラスタ分析・表示されているわけです。つまりは、「クイズの答え」を知りたくなったら、本書を手にとりそのページを眺めてみて下さいね、ということになります。

 「貨幣とは鋳造された自由である」というのはドストエフスキーの言葉ですが、クラスタ分析の結果は、見事なまでに「お金」と「自由」の距離や、「愛」や「希望」の距離を算出しています。右の図のA,B,C,D,……といった記号が「一体どんな言葉」なのか予想をしてみて、そして回答編を書店で眺め・楽しんで頂けたら幸いです。

クラスタ分析結果選択肢






2009-04-28[n年前へ]

しりあがり寿が書く「文明」と「文化」という大きなヒント 

 しりあがり寿の「人並みといふこと 」には、「言われてみれば確かにその通りだ」「そうだ、そういうことに”ぼくら”は悩んだり、喜んだりするんだ」という「とても”ぼくら”を納得させてくれること」が溢れている。ここで、いう”ぼくら”というのは、中途半端な人だ。それが、「人並み」なのか、そうでないのかはわからいけれど、たぶん、結構多くの”ぼくら”だ。ちょっと、男性の方がそんな”ぼくら”は多いような気もするけれど、女性でもきっとある程度の数はいるだろう”ぼくら”だ。

 「好きなものに賭けられる世の中っていいじゃないか」と言う。確かに「自由の果実」である「選択肢」は増えた。…でもそれはいたずらにルーレットの目を増やすだけで、人々を幸せにしているだろうか?
 その、いつだって賭けなかった方の目、失われた別の可能性の亡霊がボクたちを苛立たせる。「もっといい選択はなかったのか」「あっちのほうがシアワセそうだぜ」
 選択肢が増えることも、可能性が増えることも、それは発展の証しのひとつに違いない。けれど、それらが”ぼくら”を悩ますことがあるのも確かなことだと思う。ずっと、そう思い、その答えをいつも探している。

 そんな”ぼくら”に、しりあがり寿がテキトーに話す、そんな悩みに対する答えへのヒントは、こうだ。

 僕は「火を発明するのが文明」で「その火の使い道を決めるのが文化」かなーと整理している。文明を推し進めるのは人の「ラクチンに安全に楽しく生きたい」という欲望。その欲望のおかげで人は便利なものを発明し、安全な都市を作る。しかし、弱い者でも生きていける世界を作るのが文明ならば、必然的に文明は人を弱くする。…そんな文明の弱点を補い、上手にコントロールしていくのが「文化」のような気がする。

おわりに 「人並みといふこと」
 しりあがり寿が書く「文明」と「文化」に対する整理は、ぼくらを幸せにしてくれるヒントになっていると思う。それこそが、まさにひとつの「文化」ではないか、と思う。たとえば、しりあがり寿が手書きで書く言葉・想いが幾重にも重なっり重さをもったもの、それが文化というものなのではないだろうか。



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