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2009-11-30[n年前へ]

NEWS今昔物語「思いこめば見えてくる?」編 (初出2004年05月00日) 

5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと

 昨日、Google Japanの若きエンジニアと話していると「高校生の頃(もしかしたら、中学生の頃と言っていたかもしれません)、JavascriptでBASICインタプリタを実装した」と実に楽しげに思い出話をしてくれました。私自身が中学生の頃を考えてみると、Apple][とCommodore VIC-1001(海外ではVIC-20という型番で売られていました)という「マイコン」を持っていましたが、きちんと動くプログラムを書くことなど全然できていませんでした。しかも、「JavascriptでBASICインタプリタを実装」といったような、アプリケーション思考でなくプログラミング言語志向の発想など、絶対にすることはできませんでした。

 どんな発想をすることができるか、どんなものを作ることができるか、という限界の線は、結局のところ自分自身が線引きをするのだろう、と思います。「すごいな」と思える人を見ると、「自分に対する限界線の引き方」を少し変えることができるような気がします。「思い込みパワー」を増大させることができるような気がするのです。たとえば、私は、「ピンポン」芸を見たときに、そんな「思い込みパワー増大感覚」を非常に感じた覚えがあります。「すごいな」と感じさせてくれるものを作る人、そういう人に出会いは、その出会いだけでも「自分ができること」を増やしてくれる、と思うのです。若かった頃には(良くも悪くも)気づきませんでしたが、そういったことを(良くも悪くも)感じるようになりました。いえ、なってしまいました、と書いた方が正確かもしれません。

 ところで、「マイコン」という言葉も、当時と今とでは意味合いが違っています。今は、マイクロなコンピュータで、いわゆる制御用の特殊で小さなコンピュータ・チップを指すことが多いと思います。

 しかし、かつて私が小中学生だった頃は、大型コンピュータに比べて、「小さな"Micro"」「個人が所有する"My"」コンピュータ、という意味で使われていました。

 言葉も時代に連れ変わっていくことを実感させられます。 さて、このNEWS今昔物語シリーズは、初出が何年も前です(今回は2004年5月初出です)。ですから、下記の記事中で「先週」とか「今月」といったものも、5年以上前の「先週」「今月」になります。つまり、語句の意味合いを「少し翻訳しながら」読む必要があります。また、リンク先はなくなっているものがほとんどだとは思いますが、その点もご容赦ください。温故知新(古きを温めて新しきを知る)という言葉を頭に浮かべながら、再読頂ければ幸いです。

不惑を迎えたBASIC

 先週の5月1日でプログラミング言語BASIC満40歳になった(ビデオ)。三十代以上であれば、二十年近く前のコンピュータ雑誌に掲載されたBASICプログラムをせっせと入力しながら、プログラミングを覚えた人たちも多いはずだ。

 BASICなんてすぐに使われなくなる、とその頃からずっと言われ続けてきた。しかし、Windowsの世界ではVisual Basicはまだまだ現役だし、制御用のプログラマブルIC(PIC)にもBASICインタプリタが搭載され電子工作の世界を支えていたりする。それどころか、計測・制御機器等の中では、今でもPC98(もしくはその互換機)上で動くN88-BASICが現役選手だっりする。実は、私もそんなシステムを使うことがある。システムを入れ替えたいと思いつつ、数千行のGOTO文の迷路を眺めて、ため息をつきつつメンテナンスをあきらめてしまう。

自動着色ソフトウェア「はいから」と思いこみデータベース

 平成15年度未踏ソフトウェア創造事業で採択された自動着色ソフトウェア「はいから」の評価版を来月末までの期間限定で使用することができる。これは、カラー情報が少ない写真に対して、似た絵柄のカラー画像を参照することで、自動的に着色を行うソフトだ。「こんな画像はこういう色であるべきだ」という風なデータベースに基づいて、色を決めつけるわけである。

 考えてみれば、似たような機能はカメラやプリンタなどでは多く使われている。例えば、(顔は綺麗であるべきと決めつけて)写真中の顔を浮き上がらせ綺麗に見せたり、記憶色を重視し肌色を生き生きとさせたりしている(血色が悪いのは良くないと決めつけ)。色に限らず、人間の「思いこみ」や「先入観・決めつけ」のデータベース構築(つまりは人が望ましいと思うイメージの構築)というのはとても重要になるかもしれない。

仮装大賞「ピンポン」芸がペプシのCMで世界の舞台へ

 欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞視聴者をビックリさせたピンポンという芸がある。仮装した人達(その中には日本の伝統芸能の黒子もいる)により、マンガ映画化した「ピンポン」が忠実に再現され、映画The Matrixのようなカメラワークが何の特殊効果や特別な道具を使わずに表現されている。

 この芸が今月下旬からペプシのCMの中に採用され、世界で放映されることになった。これまでにも、彼らの仮装芸はペット・ショップ・ボーイズの新曲"Flamboyant"のプロモーションビデオ(高速回線用低速回線用)中で採用されていたりもする。手段は限りなくローテクであっても、要はアイデア次第で世界を舞台にすることができる、というなんともワクワクするニュースだ。

電子レンジの爆発タマゴで大ケガ

 「電子レンジでゆで卵を作ると、食べようとした瞬間に爆発する爆弾タマゴができあがる」、というのはテレビ番組「探偵ナイトスクープ」で有名になった面白実験ネタだ。しかし、英国の医学雑誌British Medical Journalの最新号に掲載された爆発タマゴにより角膜が傷ついて重傷を負ったという投稿記事が掲載されニュースとなった。

 技術者にとっては当たり前の面白実験料理ネタでも、そうでない人にとっては危険なものになったりする、という点でこのニュースは興味深い。関係ないが、「猫をレンジでチンして裁判が起きたという話」は実は単なる都市伝説だったということを私は最近まで知らず、恥ずかしながら本当の話だと思いこんでいた。

2009-12-06[n年前へ]

NEWS今昔物語「禁断の未来・作り出す未来」編 (2004年07月00日) 

5年前のNEWS(未来)を振り返ってみて思うこと

 少し前、(5年前に記事を書いた)「青いバラ」が、ついに販売された、というニュースを知りました。そこで、今回は、この記事を書いてみました。

 この記事を書いたとき、青いバラ開発のニュースになぜ最相葉月の「青いバラ (新潮文庫) 」へのリンクを張ったかを書いた覚えがあります。

 それは、「未来」というものを、「良いと思う面」「悪いと思う面」という両面から書きたかったから、というような内容だったと思います。できる限り、相反することの両方を並べ書きたい、というようなことを感じていたから、だったような気がします。

 この時書いた、「青いバラ」という未来は実現され、「現在」になり、そして「過去」になろうとしています。

(記事を書いた時の)ひとこと

 今回は、「未来」について書きました。自然を変え、新しいものを作り、色々な人たちが日々、色々な未来を作り出していきます。

「叶わぬ望み」の青の薔薇を作り出す

 「叶わぬ望み」「不可能なこと」を意味する青いバラ"the blue rose"をサントリーが遺伝子組み換え技術を用いて開発した。もちろん、これまでにもさまざまな青いバラが作り出されてきたが、今回の「青いバラ」はバイオテクノロジーの力により本来バラが全く持たない青の色素デルフィニジンを多量に含んでいるのが特徴だ。

 「叶わぬ望み」「青いバラ (新潮文庫) 」が遺伝子組み換え技術で実現される。良いか悪いかはさておき、それが二十一世紀なのだろう。

チタン製の埋め込むブラジャー

 二十世紀の偉大な発明の一つがブラジャーである。米国人の女性マリー・ジャコブが発明し、1913年に特許をとった。ブラジャーは、コルセットから女性を解放し、社会進出の手助けをしたともいう。そして、最近ではブラジャーの高機能化がますます進んでいる(らしい)。

 しかし、そんな偉大なブラジャーを不要にしてしまうチタン製埋め込みブラジャーをデュッセルドルフ在住のZiya SAYLAN医師が生み出した。このチタンのメッシュ状のカップを胸に埋め込むというこのブラジャーを装着すれば、未来永劫ブラジャーは必要ない。…しかし、いいのかそれで本当に?

携帯電話を腰に付けると精子の数が30%減る?

 先日、ハンガリーの科学者が「携帯電話をズボンのポケットや腰のホルスターに着けて持ち歩くと男性の精子の数が30%減少する」という研究結果を発表した。どうやって数えたのか、その方法は…あまり知りたくはないが、とにかく30%オフというのは驚くべき数字である。

 今回の結果はまだ確実なものではない、という意見もあるようなので、これから行われるだろう正確な追試等を待ちたいところだ。それにしても、女性に比べて携帯電話を(鞄に入れずに)身につけることが多い男性にとって、これは実に気がかりなニュースかも。

初の民間宇宙船をM&Msチョコレートで祝う

 100kmというと、ちょうど東京駅から静岡県の熱海くらいまでの距離だ。JRの切符を買えば1,890円ほどでたどり着くことができる。しかし、それが地表から高度100kmだとそう簡単にはいかない。なにしろ、そこは地球を飛び出した宇宙空間である

 6月21日、そんな地表100kmの宇宙の世界へ民間企業Scaled Compositesが有人飛行に初めて成功した。その宇宙船SpaceShipOneから撮影されたビデオを見るとそこは確かに地球を見渡せる宇宙の世界だ。そして、無重力の世界でお祝いに色とりどりのM&Msチョコレートをパイロットがばらまき、それらがコクピットの中を舞う様子は、…ただ素晴らしく美しいとしか言いようがない。

未踏の世界をスーパークリエイター達が作り出す

 次世代のIT市場創出を担う優れた研究者(スーパークリエイター)を支援しようという未踏ソフトウェア創造事業2004年度 第1回の公募結果が発表された。IT市場や次世代ソフトウェアなんてよくわからない…と思う人でもきっと眺めてみると興味を惹かれるものがあるハズだ。

 動き出す実物大グラビアアイドルどこからともなくブートするOS異文化コミュニケーションのための知識共有システム世界規模ソースコード検索エンジン…、なんだか面白そうなものがたくさんある。自分好みのプロジェクトを応援してみると面白いかもしれない。



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