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2011-05-26[n年前へ]

「おっぱいは粘弾性体として取り扱うべき」という最近の主張 

 「おっぱいは粘弾性として扱うべきではないか」という議論が、ここ数ヶ月参加している「シミュレーション勉強会」で話題になっています。

 これまで、「おっぱい」という物体は「弾性体」として取り扱うことが多かったような気がします。それは、年と共に変化する「ヤング率」という弾性パラメータを導入すると、比較的広い範囲のことを説明できるからです。(といっても、それは「年をとるとおっぱいが垂れる」という一点を説明できるということに尽きるのですが)

 時には、(数値計算でなく)解析的な解を求めたくて、「理想液体+表面膜」として扱って取り扱ってみることもありましたが、それはごく例外的な取り扱いだったように思います。おっぱいを私は弾性体として、取り扱ってきたわけです。

 けれど、「おっぱいは粘弾性として計算するべきだ」という主張には説得力を感じます。弾性体は元の形状を100%記憶しているわけですから、外部からの力がなくなれば、元の形に必ず戻ります。…けれど、「おっぱいは元の形に戻らない」というのが世の通説です。そうでなければ、「形状維持のためにブラジャーをしよう!」といったような広告が打たれるわけがありません。

 おっぱいが弾性体であれば、どんなにブラジャーで締め付けても「おっぱいが記憶している本来の形状を未来永劫変えない」はずですし、「無重力空間に行けばどんなおっぱいも元の形状に戻る」はずです。…けれど、現実のおっぱいは、それとは少し違う性質を持つように思われます。

 現実のおっぱいが「元の形に戻らない」もの(らしい)ということを考えるならば、背理法的に「おっぱいは弾性体のみとしては取り扱うことができないものである」という結論が得られるわけです。

 「弾性体」に力をかけて形を変えたとしても、そのエネルギーは一時的に蓄えられた上で、100パーセント戻ってきます。けれど、それが「粘性体」であれば、それらのエネルギーは熱に変わります。…おっぱいに力をかけて変形を生じさせた後に時に起きる現象を考えてみれば、おっぱいは「弾性体」と「粘性体」を足して割ったような性質を持っているように思われます。

 「弾性体」と「粘性体」を足して割ったような性質を持っているということは、「おっぱいは粘弾性を持つものとして扱うべきだろう」という主張が出てくるのももっともです。おっぱいに力を与え・エネルギーを与えると(何かしら)熱に変わる、だとすれば、それはすなわちおっぱいは粘性体であるという証拠なのです。

 さて、おっぱいを粘弾性体として取り扱うと、意外に深く面白いことが見えてくるように思われます。おっぱいの生体分子を反映する、その材料力学に近づこうとするばらば、粘弾性体としてのモデルを構築した方が良いのかもしれないと思う今日この頃です。

2016-03-14[n年前へ]

「体に密着するように見えるレオタード」と「織物と編物の違い」 

 「布地と皮膚の応力ーひずみ曲線」のグラフ、言い換えると(皮膚を基準として)布地を伸ばして変形させた時に生じる応力を描いたグラフを眺めてみると…とても面白く感じます。たとえば、木綿やデニムは少し変形させようとしただけで強い応力が生じるとか(つまり変形しづらくて履き辛そうとか)、それとは逆にレオタードは(伸びる時は皮膚と同じ程度の柔らかさで)容易に変形するけれど、伸びるときと縮む時の動作の違い(ヒステリシス)が大きくて、縮む動作では(時に魅力的な)シワが発生しやすそう…とか、そんなさまが想像できます。

 このグラフを眺めた時に一番面白く感じるのは、織物(木綿・デニム・羊毛)が伸度に対し生じる応力が大きな「伸びにくいグループ」で、編地(レオタードなど)が伸びに対して応力が生じづらい伸縮性豊かなグループだということです。…しかし、それも実はあたりまえ、なぜかというと「織物」と「編み物」の構造には違いがあって、(下記の言葉の定義にはあくまで部分的なものしか言及されていませんが)「織物」は比較的「伸び縮み=弾性体」として扱えるような構造で、「編み物」は「繊維間のズレ=まるで粘性のような挙動」が無視できない構造となっているからです。

 織物とは、たて糸とよこ糸が直角に交わり、一本ずつ浮沈しながら隣の糸と密着して平面的に連なり、組織を作ります。伸縮性はあまり無く空間が少ない実用的な織り地となります。 実用的なものに多く使われ、丈夫な製品に使用されることが多いようです。
 編み物はというと、一本あるいは数本の糸がループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて新しいループを作ることを連続して作った編み地です。

織物と編み物の違い…

 自由自在に伸びるように見える(そして時に微妙に生じるシワが魅力的に見える)レオタードも、その編み目形状に特徴があって、そして、その編み目の3次元幾何学形状が生み出す光反射模様が、実はその魅力的な質感を生み出していたりするのかも…と想像してみるのも面白い気がします。

「体に密着するように見えるレオタード」と「織物と編物の違い」「体に密着するように見えるレオタード」と「織物と編物の違い」








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