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2010-08-10[n年前へ]

「自分」の「長所」と「短所」 

 塩野入忠雄 「昭和の流痕-信州の一教師の哀歓-」 から。

 「自分を実際と違うように見せかけようとする時ほど、人間がこっけいに見えることはない」という言葉がある。外見だけを美しく見せかけようとする努力や、虎の威を借りた狐のように背後の力を借りて威張ってみたり、虚栄や虚勢は、ただ自分を粗末にする何ものでもない。
 誰にも長所がある。誰にも短所がある。(中略)数学ができる人、美術や音楽が好きな人、あるいはスポーツに秀でた人、誰よりも努力をおそれない人、みなそれはその人の長所である。お互いその長所を大事にしようではないか。
 しかし、いたずらに君自身の長所の喜びにおぼれてはいけない。自分の長所や一時の成功に自慢する時は、それはすでに長所ではなく短所となる。自慢やうぬぼれは成長の行き止まりである。自分を愛する者は、それを外に誇るのでなく、内に大事に抱いて、さらにそれを育てる努力を重ねる人である。



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