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2009-07-11[n年前へ]

Matlabの「長所」と「短所」 

 データ処理言語であるMatlabの「面白い」ところは、目的としていること・やりたいことが簡単にできる、ということだと思う。そして、そういったことを簡単にできるからこそ、使う人も多いのだろう、と思っている。

 たとえば、Matlabにはバックスラッシュ演算子"\"といったものが用意されている。A*X=Yという行列式があったなら、X=A\Yという風に書けば、Xを解くことができる。スラッシュ演算子"/"を使うと、たとえば、Y/Aとすれば「Yを右からAで割るようなこと」をしてくれる。それが、バックスラッシュ演算子"/"を使ったA\Yならば、「Yを左からAで割るようなこと」をしてくれる。・・・いや違う。そういう方程式を目の前にした人が、「きっとしたいだろうこと」をしてくれる。Matlabは実にサービス精神旺盛なソフトで、「実際にする作業」を細かく書かずとも、やりたいことをしてくれたり、する。

 長所と短所は、一枚のコインの裏表。つまりは、表裏一体、同じものだ。「やりたいことを(自分が書かずとも)やってくれる」言語が好きな人もいれば、「実際にする作業を細かく書き連ねる」言語の方が好きな人もいる。

 たとえば、バックスラッシュ演算子は上に書いたような状況下では、「左から逆行列を掛ける」のと”似た”ことをしてくれる。しかし、実際にはそういうものではない(説明例)。Matlabは「やりたいこと」を簡単にしてくれるが、その一方で「何をしているか」が見えにくい・わかりにくいように思う。

 それは、もちろん、「何をしているか」をわかりやすく目に見えるようにしたら、「(本来の目的の)やりたいこと」が見えなくなってしまいがちだ、ということでもある。やはり、長所と短所は一枚のコイン、表裏一体なのである。



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