hirax.net::Keywords::「ミウラ折り」のブログ



2000-05-13[n年前へ]

ミウラ折りの落書き紙 

思ったことを折り込めて

 十年位前のことだったと思う、「知人の先生がこんなのを作ったんだけど、興味あるだろう?」と父が不思議な冊子を私にくれた。冊子と言っても、それは一枚の紙を折り畳んだ小さな小さなものだった。ちょっと面白い折り畳み方をされたその紙には、その折り畳み方の説明とその「折り畳み方」の応用が書かれていた。もちろん、その冊子の作者は宇宙科学研究所の三浦教授で、そしてその冊子の折り畳み方はあの有名な「三浦折り」である。

 三浦折りの折り目を示してみると、例えば下の図のようになる。一目見てわかるように折り目が直交していない。そのため、それぞれの折り目が独立でなく、全ての折り目が同期しているのである。言い換えれば、一つの折り目を開こうとすると全ての折り目が開いていくし、一つの折り目を閉じようとすると全ての折り目が閉じていく。だから、例えば、折り目の端っこと端っこを掴んでただ引っ張れば全ての折り目が開き、そして折り目の両端を縮めれば自動的にパタパタと折り畳まれていくのである。

 また、折ってみるとわかるのだが、この三浦折りは折り目が少しづつずれて重なるのである。折り目というのは厚みが他の部分に比べて厚いために、折り目が重なるとその部分だけがどうしてもかさばってしまう。しかし、この三浦折りであればそんな折り目が重ならないので、折り畳んだときにかさばらないのである。
 

三浦折りの折り目

 だから、太陽電池パネルなどをこんな三浦折りを使って折り畳むと、折り畳んだときにはかさばらないし、その展開や収納は隅と隅をただ引っ張ったり縮めたりしさえすれば良い、というわけで良いことずくめというわけだ。詳しくは、宇宙科学研究所のここ辺りを読んでもらうことして、参考までにそこの画像にリンクを張っておく。
 

2Dアレイ(2次元展開アレイ)システム
( http://www.isas.ac.jp/j/enterp/missions/complate/sfu/2dsa.htmlから)

 ところで、十年前に父からもらった「三浦折りの冊子」を捨てるはずはないから、部屋のどこかに隠れているとは思うのだけれど、何処かに隠れてしまっていて、見つけることができなかった。私の部屋が三浦折りのようになっていて、部屋の隅から隅までを全て引っ張り出すことができたら、きっとすぐにでも見つけられたのだろう。しかし、残念ながら私の部屋は三浦折りではないのである。だから、私の色々なモノや本が散らばった部屋に隠れている「三浦折りの冊子」はそう簡単に見つけられるわけもない。
 

 そういえば、ふと何かが心に思い浮かぶことも日頃よくあることである。しかし、思い浮かんだその時に書き留めておかないと、すぐに記憶の何処かに隠れてしまって忘れてしまうことも多い。これもまた、私の記憶が三浦折りだったらよいのだろうけれど、幸か不幸か私の記憶システムは三浦折りではない。私の記憶や考えたことが三浦折りのようにパタパタ開かれていくのも見てみたい気もするけれど、隠しておきたいような夢や気持ちもあるだろうから、やはり私の記憶システムが三浦折りでない方が良いのだろう。
 

 とはいえ、やはり後で思い出したいこともたくさんあるわけで、そんなことは思い浮かんだらすぐに何かに書き留めておかなければならないだろう。落書き帳か何かに、思い浮かんだことをすぐに書き留めておけば良いわけである。適当な落書き帳に書き留めれば、思い浮かんだことを忘れてしまっても安心である。
 しかし、頭に何かが浮かぶ瞬間というのは、時間や場所を選ばないだろうから、そんな落書き帳はいつも持ち歩かなければならないだろう。となると、いつも持ち運ぶためにはコンパクトでなくてはならないし、そんな落書き帳を広げる作業は簡単に素早くできなければ不便である。だとしたら、その落書き帳はまさに三浦折りを使うべきではないだろうか? というわけで、私は自分用の「落書き紙」をミウラ折りを使って作ってみることにした。

 というわけで、作ってみたのがこの「できるかな?」特製「落書き紙」である。折り畳んだ状態は三浦折り特有のちょっと不思議な重なり方になり、見た感じのデザインも割に良い感じだと思う。そして、これが「できるかな?」特製「落書き紙」折り畳みのようすである。

両端を動かすだけで、パタパタと自然に開いたり折り畳まれていくようすがよく判ると思う。
 
「できるかな?」特製「落書き紙」
 実際の大きさは掌にすっぽり隠れるサイズ。 裏表紙は表紙を裏返したデザイン。それは、考えたり思ったりしたことにはきっと表も裏もあるだろう、という気持ちの現れなのである。

 
 

 ここにPDFファイル化した「できるかな?」特製「落書き紙」を置いておくので、興味のある人はぜひプリントアウトして三浦折りを実際に試してみると面白いと思う。このPDFファイルは開くときにパスワードを聞いてくるが、"hirax.net"といれてやれば開くことができる。

ちなみに、この「できるかな?」特製「落書き紙」の表と裏を見てみるとこんな感じになる。裏表紙は表紙をそのまま裏返したデザインにしてある。それは、考えたり思ったりしたことにはきっと表も裏もあるだろう、そしてそれは表裏一体で単に裏表の関係なのかもしれない、という気持ちの現れなのである。
 
「できるかな?」特製「落書き紙」の表と裏
(表)
(裏)

 この「できるかな?」特製「落書き紙」の作り方であるが、まずこのPDFファイルを長手綴じで両面印刷をする。そして、上下左右マージンが不揃いであれば、端部を少し切り取る。実際に折り畳んだ後であれば、そのどの程度不揃いなのかがわかりやすいから、端部を切り取る(切り取らなくても良いが)のは一番最後でも良いだろう。
 そして、表の面の折り線に沿って、次の写真のように折り畳んでいくのである。
 

「できるかな?」特製「落書き紙」の作り方
1. まず、表面の折り線に沿って長手方向に折る。この写真で見えてるのは表の面。

2. 次に斜めの折り線に沿って、折り目をつける。こちらはただ折り目をつけるだけで、折り目の向きには意味は無い。
3. 2で付けた折り目を部分的にひっくり返しながら、全面を折り畳んでいく。
4. 「できるかな?」特製「落書き紙」のできあがり。

  さて、この三浦折りの「できるかな?」特製「落書き紙」は折り畳めばとても薄く小さいから、ポケットに入れていつも持ち歩いて、心に浮かんだことなどを書きとめて持ち歩くのに最適だと思う。そして、この落書き紙の裏や表に、思ったことの表から裏までを書き留める。そして、そんな思い・考えの切り抜き・断片、を小さく折り畳んだまま伝えたい人に手渡してみて、折り畳まれたもの達がその人の掌の中でパタパタと現れてくるのも、それはそれで不思議に新鮮な感覚だろう。例えば、ちょっと不思議な「三浦折りのラブレター」なんて、不思議でいい感じだと思うんだけれど… 駄目かなぁ?
 


2001-11-24[n年前へ]

hirax.netの美術館 

PLAY BACK

 
 
 もうすぐ師走、年賀状を作る季節になりました。ヘンなポストカードを作って、色んな人に贈ってみたいという人もきっと多いはずです。そんなあなたのために、「できるかな?」でこれまで使ったヘンな画像達のいくつかを展覧会のように並べてみました。

 これを眺めていると、ポストカードを作る何かのアイデアが湧くかもしれません。あるいは、何か他のアイデアが湧くかもしれません。

 何はともあれ、hirax.netの美術館にようこそ。夕方の閉館時間までお楽しみ下さい。


 
 
 
 
「Igot a (N)Icon Camera.」
jun hirabayashi1999

 Profile代わりに置いているもの。「謎かけのようだ」、「こんなもので何がわかる」と実に不評であるらしい。
 縦軸はデザイン上の都合で(x10)されています。ケアレスミスとの噂も…。
 
 
 
 
 
 

 「A HappyNew Year!.」
jun hirabayashi 2001

 サンディエゴをFinePix700で。そういえば、この後すぎにFinPixが壊れたのだった…。
 これは、喪中だったが、hirax.net用に作ってみたもの。
 


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
「淡くて儚い昔のアルバム」(部分)
junhirabayashi 2001

 「集合写真を集めた集合写真」。これを遠目に見ると、右の写真のようになる。あなたが眺めた一年を集めて、一枚の写真を作るのは如何でしょうか。
 

「笑顔で作った一枚の写真」
junhirabayashi 2001

 笑顔を集めて一枚の写真を作ったもの。笑顔がつまった年賀状なら、きっと次の一年は素晴らしい一年になるかもしれません。
 


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
「ゼロックス写真とセンチメンタルな写真」
jun hirabayashi1999

 荒木経惟の「センチメンタルな写真、人生 - Sentimental Photography,Sentimenatal Life - 」を見に行って、自分でもやってみたもの。左は普通の写真で、右はゼロックス写真風にしてみたもの。
 「カラーコピーの色っていうのは、妙になまめかしい」と荒木経惟は言いますが、そんな「なまめかしい色」の年賀状は如何ですか?
 

「A3用紙の広さの世界」
jun hirabayashi2001

 September 11からの一連のことから、考えて、作ってみた写真。左上に重なっている絵は「野火」という画像です。

 こんな写真ではおめでたくはないですね…。

 


 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 

「小さな掌に未来の地球儀をのせて」
junhirabayashi 2001

 「送られたカードを組み立てると、小さな地球ができあがる」というカードはいかが?もちろん、掌にのる小さな地球はあなただけの地球です。
 

 「モノポリー」HIRAX.NET Edition
junhirabayashi 2000

 「WEBサイトでMONOPLOY」から。それぞれの場所はそれぞれのサイト。個性溢れた小さなMONOPLYカードを送るのは如何でしょう。


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
「記憶の中の風景」
junhirabayashi 2001

 「できるかな?」特製の色鉛筆風のメキシコのティファナの風景。「昔見た風景」をリアルに描くことは、リアルな写真とは違う。水彩画でカラフルに描かれた世界の方が「記憶の中の風景」に近いこともあります。
 
 
 
 
 

 「Everythinglooks better in black and white.」
jun hirabayashi2000

   Paul SimonのKodachromeの歌詞は、元はEverything looks worsein black and white.だったが、
何時の間にか、Everything looks better in black and whiteに変わったといいます。
 何時の間にか、白黒の世界の方がきれいに見えてきてしまうこともあるのでしょう。


 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
「ミウラ折りのラブレター」
jun hirabayashi2001

 「ミウラ折りの落書き紙」で作った「ミウラ折り」のカード。このカードに、思ったことを書き留めて贈ってみるのは如何でしょう?
 

 

日傘をさす女hirax.net Edittion 
jun hirabayashi2001

 「日傘をさす女」から。モネの「日傘をさす女」を立体化したもの。過去の世界が生き生きと動き出すさまを眺めてみると、実に不思議に感じる。

 そんなノスタルジックな立体写真カードは如何でしょう?


 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
「言葉にされたモナリサ」 (部分)
junhirabayashi 2000

 「モナリザの自己相似形」で作成したもの。
 私がモナリザを見たのはこのASCIIアートのモナリザが初めてだった。何故か住宅の天井裏にASCIIアートをモチーフにしたカレンダーが貼られていた。天井裏に貼られたモナリザはとても趣があった、と思う。そういうわけで、初めて見たモナリザは、カラーではなくて白黒の、しかもASCIIアートのモナリザだった。

 「言葉でつづる一枚の絵」を贈るのも、趣があるのではないでしょうか?
 

 「愛で描いた仲間由紀恵」
junhirabayashi 2001

 「純愛で世界を描ききれ」で作った「純愛スクリーン」で描かれた仲間由紀恵。

 愛を込めて作った一枚の写真をあなたの大好きな人に贈るのは如何でしょう?なかなか相手には届かないかもしれませんが…。
 

 


 
 
 
 

 
 

2003-01-19[n年前へ]

タイガー・ウッズの秘密 

 今日の朝日新聞の夕刊に、ミウラ折りの三浦公亮氏が「日本機械学会誌」1月号にタイガー・ウッズの飛距離の秘密を分析した結果を報告という記事。その秘密は、「ボールをミートする寸前に左腕を体に引きつける」こと。そのようにして腕の回転の支点位置を引き上げることで、パラメータ励振によりヘッドのスピードをアップさせているのだろう、という分析。
 つまりはブランコと同じってことか。朝日新聞の例えは今ひとつ判りにくいかな。やはりここは、それは胸を揺さぶるオッパイ星人のパラメータ励振と同じとまで言って欲しいものなのである。

2010-02-05[n年前へ]

「はるか」のアンテナ 

 平林久・黒谷明美「星と生き物たちの宇宙―電波天文学/宇宙生物学の世界 (集英社新書) 」から。

 「はるか」の最も重要な大きなアンテナの展開はどうだったのでしょう?そもそも、アンテナはどういう仕組みで展開するようになっていたのですか?
 この方式を進めたのが、当時宇宙科学研究所で「はるか」アンテナ開発主任だった三浦公亮先生です。折り紙の権威で三浦折りの発明者です。
 「はるか」のアンテナは三浦折りだと勘違いされることが多いのですが、全く違う概念です。

 著者の片方(私の父)は、何十年来、hiraxという名前を使い・そう呼ばれている。それが、hirax.netの"hirax"の由来である。



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