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2008-06-20[n年前へ]

「巨乳ハンター」と「システム同定」 

 そういえば、「(加速度センサ対応)体感・実感バストシミュレータを作る」の動作画面を一目見て、”爆乳”の名付け親の方『カップでいうとFカップくらいの動きだ』と言ったのを面白く感じました。「見た感じ」で、どのような動きをするシステムであるか、あるいは、そんな動きをするのものの例としてはどのようなものがあるか、つまりは、ある種の「システム同定」を即座にできるのだなぁ、と感心させられたのです。さすが巨乳のプロだと思わされたのでした。

 「巨乳」といえば、昔懐かし「巨乳ハンター」を読み直しました。知らない人のために補足しておくと、巨乳ハンターは

羨まれる豊かに見える人でも、それぞれの悩み・苦労を抱えている
という奥深いマンガです。…と書いたら、きっと「そんなわけあるか!」と言われてしまうかもしれません。そこで、もう少し書き直しておくと、
羨まれる豊か(な胸)に見える人でも、それぞれの悩み・苦労を(その胸に)抱えている
ということになります(異論続出でしょうが)。

 ところで、巨乳ハンターを読み直していると、モーメントやら共振といった用語が時折顔を出してくることに(今更ながら)気づかされました。主人公が戦う相手のワザを科学的!?に解説する中で、そんな用語が出てくるわけです。というわけで、「巨乳ハンター」の秘技の数々を検証してみると、一体どんなことがわかるのだろうか、と考えてみたりしたのでした。

システム






2008-06-22[n年前へ]

ホッケー・パックの飛び方のナゾ 

 (チューインガムで作った)ラトルバックではないけれど、実際に再現させることは簡単にできるのだけれども、その動きの仕組みを説明しようとすると結構難しいことということが多い。いや、多いどころか、上手く説明できないことばかりが世の中には満ちているように思う。単純に言ってしまえば、「実際に起こる現象を理解・説明する力」というのが不足気味なわけだ。

 そんな、「実際に再現させることはできても、その動きの仕組みを説明しようとすると結構難しい」ことの一つが、「ホッケー・パック」の飛び方だと思う。平面の上に置かれた扁平円板を叩くと、それが上に飛んでいく仕組みをきちんと説明しようとすると、これが結構難しい。ゴルフボールのように、ピンや芝生の上に浮いている状態の物体を打つのではなくて、あくまで摩擦抵抗の低い平面の上にある扁平円板を叩くのに、パックが浮かんで飛んでいく減少を定量的に話すのは、なかなかに難しいように思う。

 パックがホッケー・スティックのブレードの先で回転することで(決して小さくない)回転モーメントを持ち、その回転モーメントがあることが前提で、スティック・ブレードの下部がホッケー・パック下部を押し、ブレード面を転がり浮かぶようにして、クルクル横に回転しつつ、パックが斜め上に飛んでいく…というような説明はできても、それを数式を書きながら、単純な形で説明してみろと言われたら、言葉に詰まってしまうに違いない。(参考動画

 ヘロヘロと縦回転をしながら情けなくパックが飛んでいってしまうことが多いように、頭の中で計算をしようとしてみても、どうしても「ヘロヘロと縦回転をしながら情けなくパックが飛んでいってしまったりする」のである。現実にも、あるいは、頭の中のシミュレーションでも、鋭くゴール上方隅に決まるようなシュートが打てたら良いのだけれども。

2012-09-20[n年前へ]

「動き出す前から、きっと体は動いてる」と「I believe」 

 日曜の朝、トロントの大型ショッピングモールで、始まったフラッシュモブ "I Believe She's Amazing Flash Mob - Toronto Eaton Centre" を観ながら考えました。たくさんの人の中で、突然始まり・そして終わるショーを眺めつつ考えます。

I believe i can.
I believe i will.
I believe i know my dreams are real.
I believe I'll stand.
And, that is what I do believe

I Believe "Yolanda Adams"

 その風景に見とれているように見えたのに、ある瞬間を境に踊り出すように見える人も、きっと自分の出番を前に、「普通」とは違う”動き(統計分布)”をしているに違いありません。だから、フラッシュモブを写すビデオカメラに写された画面を、機械のような目で冷静に眺めてみれば、次の瞬間に踊り出すだろう人を(ケータイカメラや備え付けカメラといったもので撮影したならば)きっと見分けられるはずです。

 そういう風に考えながら、日曜の朝のトロントのショッピングモールの風景を眺めてみると、画面に映っている「通行人に見える人たち」も、流れる音楽に周期も位相もぴったり合った(つまり、少し普通より小刻みに速く違和感を感じさせる)歩調でリズミカルに歩いていたりすることに気づきます。

 もうじき踊り出す時間が来ることを意識しながら、前もってリズムに体を慣らしていないといきなり動くことはできないから、出番が来るずっと前の時間から、リズムに体を合わせ歩き・動いている人たちが浮かび上がってきます。

 だから、たとえば、街中を写すカメラがあって、そのカメラが写す動画に対し、部分追跡をする解析コードを書いたなら、これから起こるフラッシュモブだって・これから踊り始める人たちだって、それらこれから始まる楽しい未来の瞬間をきっと見分けられるはずだ、と思います。

 動き出す前からきっと体は・何かは動いてるし、動いている人はまた人を「動かす」ことがある。たぶん、「そういうものだ」と思います。それが、運動というもので、保ち続けられる運動量という感じのものなのでしょう。

Kim MacGregor organized this flash mob of 200 dancers to launch the "feel good" movement, "I Believe She's Amazing" in honor of her friend Erika Heller who passed away May 28th, 2009 at 31 yrs. old.

 ところで…運動量はモーメントです。そのモーメントという言葉をさらに辞書でひくと、"一瞬"という言葉が書かれています。人を含むすべてのものの動きを示す「運動量」がほんの”一瞬”だというのは、ちょっと不思議な気もします。けれど、辞書のこんな定義を読むと、少し納得できる気もします。

moment: 短いけれど、素晴らしく・心惹かれる瞬間

2018-06-17[n年前へ]

「逆上がり」を「自然にできる」ための物理学的メソッド 

 胸ほどの高さにある鉄棒をつかみ、地面を蹴って鉄棒の上に回り込むのが「逆上がり」。慣れると簡単にできますが、一番最初は、なかなか回れず「運動なんかキライだ!」と感じてしまったりするものです。

 よく「学校で勉強することなんて日常生活ではほぼ役に立たない」と言われたりしますが、たとえば「自然がどのような振る舞いを示すかを可能な限り簡易に説明する」のが、たとえば、物理だったりします。…というわけで、今日は、「逆上がり」を「自然にできる」ための物理学的メソッドを考えてみることにします。

 まず、回転の運動方程式を思い浮かべれば(右図)、逆上がりを成功させるためには、まずはシンプルに地面を蹴る瞬間に回転のイキオイを最大化したくなります。

 運動量のモーメント(角運動量)が、大雑把には、回転原点(ここでは単純のために鉄棒位置としておきましょう)と蹴り上げる足が持つ運動量の外積であること、つまり、その大きさが「鉄棒から足先」と「足の運動量」からなる平行四辺形の面積を考えると、それを最大化するために必要なことは「足を蹴り上げる方向は鉛直上方向ではなくて、平行四辺形が直角形となる「斜め上」であることがわかります。つまり、必要なことは「上に高く飛ぶ」ではなく「足を前上方に蹴り上げる」ことだということになります。

 もちろん、蹴り上げる際の「足の運動量」を最大化することも重要でしょう。ということは、たとえばサッカーでボールを蹴る「利き足」を「前上方向に蹴り上げられる側の足」にするということも効果的なはずです。つまり、サッカーでボールを蹴り上げるのと同じ動きで、利き足を上に蹴り上げて、その回転を行う運動モーメントを逆上がりの原動力とするわけです。

 あるいは、それを言い換えれば、まずは「鉄棒の下に、非利き足で踏み込んだ上で、利き足を斜め前方上に蹴り上げる」というルーチーンが、自然に逆上がりを成功させるための動きとなるわけです。

 大人の男性なら蹴り上げる時の足の速度は秒速15メートル(時速55キロメートル)程度です。この速度で人の体を単純化して計算してみると、上記の蹴り方をすれば、確かに逆上がりが成功する結果となります。

 ちなみに、サッカー選手なら足を蹴り上げる速度は時速100キロメートルを越えたりします。 サッカーのワールドカップが開催されている今日この頃、サッカー選手の「逆上がり」を見てみたくなります。

「逆上がり」を「自然にできる」ための物理学的メソッド「逆上がり」を「自然にできる」ための物理学的メソッド








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