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2010-11-16[n年前へ]

「虚学」と「実学」 

 森本雅樹先生の「宇宙経由 野辺山の旅 」から。

「本学はものの役に立つ人間を社会に送り出すことをモットーとし、実学に徹した教育を行っております」(中略)
 もしも、私たちの先祖が、そのときの「実学」に徹していたら、もちろん今日の天文学は生まれなかったであろうし、当然その知識と自然の理解をもとにして築かれた物理学は存在しないであろう。
 人々が「役に立つ」と言い「実学」と呼ぶ科学技術はそういった過去の虚学の上に成り立っていることを忘れてはならないだろう。

実学・虚学

 寺田寅彦が書いたこんな文章を連想し、リアルとイマジナリーのふたつが作る、無限の世界を考える。
 俳諧で「虚実」ということがしばしば論ぜられる。数学で、実数と虚数とをXとYとの軸にとって二次元の量の世界を組み立てる。虚数だけでも、実数だけでも、現わされるものはただ「線」の世界である。二つを結ぶ事によって、始めて無限な「面」の世界が広がる。

寺田寅彦 「無題六十四」



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