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2009-03-28[n年前へ]

「相手の気持ちや事情を理解し、考える」

 京都新聞 出版最前線の、渡辺 淳一 「欲情の作法 」に対する書評より。

 センセイはまず、男性に自分の精子を顕微鏡で見なさいと勧める。卵子にたどり着く精子は一つだけ。男は振られる生き物だという自覚を促し・・・
 教えの根底に流れているのは「相手の気持ちや事情を理解し、考える」ということだ。…これは恋愛論であると同時に、性を切り口にした優れた人間関係論でもあるのだ。

2010-02-09[n年前へ]

「恋愛旅人」と「頁の折り目」

 角田光代 「恋するように旅をして 」(旧題「恋愛旅人」)から。

 小学校の高学年が一、二年で学ぶことを、二十歳をすぎた私は十年以上かけて学びつつある。アジアとヨーロッパの区別。大陸の区別。そこで生産される製品と、そこで生きる人々。人々の持つ歴史と、彼らの食べる日常食。差別ということ。和解ということ。

 古本で「恋するように旅をして 」を買い、列車の中で頁をめくる。読み進めていると、端に折り目のある頁が、いくつかあった。

 私の前にこの本を読んで、頁の端を折った誰かは、一体どの言葉に惹かれたのだろう。頁の端っこをどちらの面に向けて折り、そして、どの言葉を記憶しておこうと思ったのだろうか。

 本を読みながら誰かが感じたことの痕跡が、頁を折った跡の向こうに見える。その人の感じた道のりを、ふと辿ってみたくなる。その気持ち・心の動きは、少し、恋愛に似ている。

2010-02-12[n年前へ]

「場所と人の関係」は「恋愛の関係」に似ている

 角田光代 「恋するように旅をして 」(旧題「恋愛旅人」)の「ポケットに牡蠣の殻」から。

 場所と人の関係というのは、恋愛にひどくよく似ていると思う時がある。
 この文が書かれるまでの流れ、そしてこの文が唐突に始まる、その流れが小気味よい。文章の一節ごとの繋がりが、そして、それら文章の一節ごとの跳ね具合が、まるでコブ斜面を蝶のように舞うスキーヤ―を見ているような心地になる。
 場所と人の関係が本当の恋愛と決定的に違うことがたったひとつだけある。
 前の一節、次の一節・・・前のコブ、次のコブ・・・力を抜いて跳んで、体を固めて次へ飛ぶ。そんな動きを眺めているような気持ちになる。

2010-03-13[n年前へ]

恋のさなかにいる女子の記憶力は頑固で、強靭で、図太く、変更・訂正をいっさい受け付けない。

 「ふつう」に考えているうちに、色んな「ふつう」がみえてくる、軽やかで楽しいそんな本。角田光代の「今、何してる? 」から。

 たしかに、恋のさなかにいる女子の記憶力はずば抜けている。かつ、その記憶力は頑固で、強靭で、図太く、変更・訂正をいっさい受け付けない。
 ふと、プログラミング言語の上で例えるなら、そんな「記憶」はどういう風に表現できるのか・実装されているのか、ということを考えたくなる。
 記憶力の悪い(ように見える)女は、あなたに恋愛的な興味を持っていないだけなんだよ。
 そして、また角田光代の書く文章に惹きこまれていく。



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