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2012-11-23[n年前へ]

日本語を読むための「必要最低解像度」は少なくとも200PPI以上です 

 「iPad mini用「究極・至高のノート」キットを作ってみた!」と書きましたが、それは「今手に入る・かつ安く手に入る道具でできる限りの範囲で最善」だというだけの意味で、決して「それでもう十分・満足だ」という意味ではありません。

 たとえば、iPad mini の解像度は、日本語書籍を読むには不十分です。ここでいう「不十分」は主観的な感想の話ではありません。なぜなら、iPad miniのディスプレイ解像度163PPI程度という数字は、日本語の書籍を表示するのは原理的に不十分なものだからです。

 日本語の書籍には、おおよそ6ポイント(あるいは8級程度)よりも大きい文字が使われます。たとえば、6ポイント文字なら縦横が2mmより少し大きいくらいの文字サイズです。9ポイントなら文字サイズは3mm四方程度となります。

 そんな大きさの文字をディスプレイで表示したとき、一体「何ピクセル四方になるのか?」を示したのが下のグラフです。言い換えれば、ディスプレイの解像度に応じて「所定の大きさの文字をどのくらいのピクセルで表示することができるのか」を示したグラフです。

 日本語の漢字は、平均すると12画程度の画数になります。そして、「(人が読む)文字」は(しかも文字の中でも特に漢字という文字は)、線が縦横同じように・等間隔に並ぶことが多いという性質があります。なぜなら、そういう状態が一番「人が読みやすい」状態だからです。その結果、大雑把に言うと、平均12画なら、縦横の線はそれぞれ約6本程度存在する、ということになります。

 すると、2次元平面上において、縦横各軸に対して(1文字の大きさの中に)6本程度の線が等間隔に存在するということは、それらの線を表現するためには、1文字を縦横が最低12ピクセル以上で構成されていなければなりません。もちろん、それは「最低必要とされるピクセル」の話であって、文字の中で線が引かれる場所(位相)・幅によっては、最低20~数十ピクセルが必要とされることになります。

 そこで、冒頭に示したグラフ「(ディスプレイの解像度に依存して)所定の大きさの文字をどのくらいのピクセルで表示することができるのか」を眺めると、200PPI以下の解像度の場合には、日本語書籍で使われる大きさの文字を表現するには解像度が不足している(1文字をたかだか十数ピクセル四方で表現することになってしまう)ことがわかります。

 つまり、たとえばiPad miniの163PPIといった解像度程度では、日本語の書籍に使われる文字を(日本語の書籍で使われるのと同じような大きさで)表現することはできないのです。アルファベット文化圏であればともかく、漢字を使う日本語書籍を読む限りにおいては、200PPIといった解像度では「最低解像度(にまだ足りない程度の解像度)」と読み替えなければならない数字なのです。

 解像度が足りているか・不足しているのかを考える時は、「出力しなければならないパターン」を原理的に出しうるかを、まずは考えてみると良いような気がします。その上で、日本語書籍で使われる「パターン」を再現するためには、200PPI程度では不十分だ…というのが現実です。

日本語を読むための「必要最低解像度」は220PPI程度です








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