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2014-05-15[n年前へ]

幕末から明治にかけての浮世絵師「月岡芳年」の作品を3次元的に眺めてみよう!? 

 ColorDesigner(分光画像による超高精細・高忠実色再現画像の紹介)に、幕末から明治にかけての浮世絵師である月岡芳年の作品を、正面からや側面からと照明方向を変えて撮影した画像がありました。

 複数方向から照明を行った画像や、あるいは、複数方向から撮影した画像があれば、その画像を3次元的に眺めたようすを復元することができます。たとえば、浮世絵表面での反射のさまをCook-Torranceモデルとして仮定して(また、表面凹凸は、左右両側からの同時照明時と片側だけの照明時の違いから、適当に生成させて)、月岡芳年の浮世絵を3次元的に復元してみたのが下の動画です。

 黒い衣服の中の模様や、画面に時折配置された漆絵(うるしえ) っぽい艶のある黒部が、眺め方を変えるとリアルに光り輝き「浮かび上がってくる」のがわかるかと思います。黒一色に見える服に、実は緻密な(漆のような)光る模様が描かれていることが見てとれます。

 「漆や膠で血の色を出す」という派手な表現をしたともいう月岡芳年の浮き世絵を、こうやって色々眺めてみると面白いかも知れません。

 …芳年の絵に漆や膠で血の色を出して、見るからネバネバしているような血だらけのがある。この芳年の絵などが、当時の社会状態の表徴でした。

江戸か東京か「淡島寒月」

2014-05-16[n年前へ]

見る方向で姿が変わるリアルな浮世絵を3次元的にグリグリ眺めてみよう!? 

 幕末から明治にかけての浮世絵師「月岡芳年」の作品を3次元的に眺めてみよう!? で月岡芳年の浮世絵の見え方を復元してみましたが、その復元結果を、Three.jsで色々眺めることができるようにしておきました。ポインタ操作やキー操作(Contrlなど)を使い、眺める位置を変えつつ眺めると、見る方向で姿が変わるリアルな浮世絵の姿が浮かび上がってきて、とても面白いかもしれません。

 参考までに、幕末から明治にかけての浮世絵師「月岡芳年」の作品を3次元的に眺めてみよう!?で行ったことをメモしておきます。物体表面の反射モデルは、その対象や近似の度合いに応じて種々あります。そのひとつ、Cook-Torrance+Lambertのモデルだと、表面各点の情報は、完全拡散の色情報を表す(たとえばRGB色空間だと)RGBの3スカラーと、表面の屈折率と表面粗さ(をある近似のもとに表すMicro facet係数)という、合計5つのスカラー量で表されます。逆に言うと、5つの未知数があります。さらには、版画に使われる材料では、その屈折率は高々1.5倍程度しか違わないので、屈折率については無視しても大差ないというわけで、未知数は高々4つになります。

 そこで、ColorDesigner(分光画像による超高精細・高忠実色再現画像の紹介)のような、正面・側面からと照明方向を変えて撮影した2画像があれば、各点に対してRGB画像×2という6つの情報が得られるので、先の5つ(もしくは4つ)の未知数を求めることができる、反射モデル(に必要な係数)を求めることができる、というわけです。

 複数方向から照明を行った画像や、あるいは、複数方向から撮影した画像があれば、その画像を3次元的に眺めたようすを復元することができます。

幕末から明治にかけての浮世絵師「月岡芳年」の作品を3次元的に眺めてみよう!?

見る方向で姿が変わるリアルな浮世絵を3次元的にグリグリ眺めてみよう!? 






2014-08-11[n年前へ]

月岡芳年の浮世絵をタブレットでリアルに手にしてみよう!? 

 幕末から明治にかけての浮世絵師「月岡芳年」の作品を3次元的に眺めてみよう!? で月岡芳年の浮世絵の見え方を復元し、見る方向で姿が変わるリアルな浮世絵を3次元的にグリグリ眺めてみよう!?では、Three.jsでそれを3次元的に眺めてみました。そこで今日は、月岡芳年の浮世絵をタブレットでリアルに手にしてみることにしました。

 …というわけで、早速「作ってみた」のが下の画像です。月岡芳年の浮世絵に当たる光や眺め方(持ち方)を反映して、本物と同じように(誇張も混じった”多分”ですけど)眺めることができます。タブレット内の月岡芳年の浮世絵にスポットライト光があたれば、版画の上の艶がある部分は刷り模様を反映した(スポットライトに対する)反射光を返しますし、眺める向きを変えればギラギラとした反射光から逃げることもできます。もちろん、照明光の色が変化すれば、その色で照らされた時に見えるはずの反射光を返します。



 といっても、やった作業はとても簡単で、実質10分ほどの作業に過ぎません*。(結構前ですが)前回の記事作ったデータを、iOS上で動くGLSL Studioに読み込んで、前面カメラ(フェイスカメラ)で周囲の環境光をリアルタイムに認識することで周りから浮世絵に照射される光線を推定し(適当にね!)、(浮世絵を眺める人の視線方向に対して)浮世絵から反射されるはずの光・色を液晶画面に映し出すことで**、「周りからの光と自分自身の反射率特性に応じて、周りに光を返す」という反射物体が持つ特性と同じ挙動をさせる、という具合です。…こう書くと複雑そうですが、実際のところはほんの10行足らずのコードを書いてみたに過ぎません。

 最近のスマホなら、前面カメラを使うことで環境光分布の推定も容易にできますし、浮世絵のような反射物が持つh反射率分布関数(BRDF)の再現・表示もスマホ搭載のGPU・LCDならある程度行うことができます。…となると、もはや反射物体としての浮世絵とかアートの再現なんてスマホで十分可能だぜ!という時代が訪れているようにも思われます。


*以前iOS上でネイティブアプリで作成したことがあるのですが、それと同じようなことはGLSL Studioを使うと(できないこともあるのであくまで簡易的にとはなりますが)ものの5分ほどで、ほんの10行弱ほどのコードを叩くことで実現することができるのです。

**ちなみに、iPadのフェイスカメラ部分にティッシュペーパーを貼りつけてあるのは、環境光分布を畳み込む計算を行うのがGLSL Studioでは重かった(不要な重複計算が生じてしまう)から、ティッシュペーパーで超アナログな畳み込み計算をしてみた…という具合です。



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