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2000-12-24[n年前へ]

サンタクロースを捜して 

Double Role on Christmas Eve


 クリスマスが近くなると子供達は「サンタクロースにお願い」をし始める。といっても、子供達がサンタクロースがどこに住んでいるのか知っているわけもないし、かといってサンタクロースへの伝言板があるわけでもない。これがゴッサムシティに住んでいるバットマンなら夜空にバットシグナルを照らし出せば良いし、シティハンターなら駅の伝言板に書き込みをすればちゃんとメッセージは伝わるだろう。

 だけど、サンタクロースに関してはそんなホットラインは残念ながら無いのである。子供達はサンタクロースに「自分が欲しいもの」をどうやって伝えれば良いのか実際のところ判らないのだ。じゃぁ、子供達はどうすれば良いのだろう?どうすればサンタクロースが何処にいるのか知ることができるだろう?サンタクロースを探すにはどうしたら良いのだろうか?

 これまでなら、子供達は身の周りの大人達、自分よりも色んなことを知ってそうな大人達に「サンタクロースは何処にいるの?」と聞いていたに違いない。だけど、色んなことを知ってるはずの両親や保母さんも「サンタクロースが何処にいるか」は何も教えてくれない。残念ながら、色んなことを教えてくれる大人達もサンタクロースのことに関しては何故か何も知らないようなそぶりを見せる。

 そんな風に、これまでなら子供達には他に調べる術もなかった。だけど、今なら違う。インターネット上に「検索サイト」がたくさんあるのだ。今の子供達は例えばGoogleで「サンタ」と入力して検索のボタンを押すだけで、なんと25300件もの情報(2000.12.24現在)を集めることができる。子供達は「インターネット上でサンタクロースを捜す」ことができるのだ。

 だけど、子供達にはそんなサンタを捜す手段はあるのだけど、それでもなかなか上手くサンタを見つけられないことだろう。まだまだ、上手く情報を選別できないこともあるだろう。そこで、今回はそんな子供達のために、インターネットで「サンタクロースを捜して」みた結果を書いてみたいと思う。サンタクロースが誰だか調べるテクニックとそのヒントをホンの少しだけ書いてみたい、と思うのだ。
 

 さて、それではサンタクロースを捜してみることにしよう。まずは、「関係者を調べて」みる。サンタクロースと誰が関係していて、誰が関係していないのかを調べてみるのである。と、いきなり言われても判りづらいだろうから、まずは例を出してみたい。例えば、どうみてもサンタクロースの関係者のハズの「トナカイ」を考えてみよう。まずは、「トナカイ」をGoogleで検索すると23500件の情報がある。そして次に、「トナカイAND サンタ」で検索すると、9060件の情報があることがわかる。トナカイの全ての目撃情報(Googleによる)が9060件であるのに対して、「サンタと一緒にいるトナカイ」の情報は9060件の目撃情報があるのだ。つまり、9060/23500= 38.6%もの高い確率でトナカイは「サンタと一緒にいる」のである。
 

トナカイとサンタの「関係」 → どうみてもトナカイはサンタの関係者である

 この「トナカイとサンタの関係」を見せただけでは、少し疑問に思う人もいるだろう。そこで、次にサンタと無関係そうな白馬の場合で調べてみよう。果たして、白馬がサンタの関係者であるかを捜査してみるのだ。

 まずは、「白馬」単独で検索をすると108000件の目撃情報が見つかる。それでは、「白馬AND サンタ」で検索するとどうなるだろうか?なんと、795件しか見つからないのである。つまり、「サンタと一緒にいる白馬」は795/108000= 0.74%しかいないのだ。これは、どうみても白馬はサンタと無関係であることがわかるだろう。白馬に乗って現れるのはやはり「王子さま」であって、サンタではないのである。そしてまた、この検索方法の妥当性も納得して頂けることと思う。このやり方で検索を続けていけば、サンタの正体もいつか判るハズなのだ。
 

白馬とサンタの「関係」 → どうみても白馬はサンタと無関係である

 これを読んでいる子供達がこの検索方法を使えば、きっとサンタをいつか見つけることができるだろう。あとは子供達が自分で捜すことだろうから、もう私が捜すのはここまでだ。

 だけど、ちょっと気になることがあるのでそれだけは調べておきたいと思う。それは、サンタと子供と大人の関係だ。何故なら、去年「サンタが街にやってくる」の中で私は「サンタクロースの巡回問題」を考えることで、「子供達が大人になって、そしてサンタになる」と推理してみた。じゃぁ、サンタと子供と大人の関係は一体どうなっているのだろう?それだけは、ちょっと調べてみたいのだ。子供達がサンタのことを訊いても、サンタのことを何も知らなさそうなそぶりを見せる大人達は本当にサンタと無関係なのだろうか?それだけは調べておきたいと思うのである。

 そこで、サンタと一緒に目撃された(Googleに)子供と大人の割合を調べてみた結果が次の表だ。
 

サンタと子供と大人の関係
サンタと一緒に目撃された割合
子供1.4%
大人0.018%
(参考:プログラマー)0.57 %

 これを眺めてみると、とても興味深いことがわかる。なんと、サンタと一緒に目撃された子供の割合は1.4%であるのに対して、サンタと一緒に目撃された大人の割合は0.018%しかないのである。二桁も違うのだ。もう、どうみてもサンタと無関係そうなプログラマーでさえ(プログラマーには実に失礼であるが)、0.57%もサンタと一緒に目撃されているのに、大人はそれより遙かにサンタと一緒には現れないのである。0.018%なんてほとんど0%だと言っても良いくらいだ。サンタと大人が一緒に目撃されることはもう全然無いのである。

 さっきのトナカイの場合なんか、38.6%もサンタと一緒に目撃されていて、「サンタがいるところにはトナカイがいる」と言っても良いくらいなのに、それとは全く正反対だ。「サンタがいるところには大人はいない」のである。「サンタと大人が一緒に現れる」ことはないのだ。だから、きっと大人とサンタは無関係なのだろう。子供達がサンタクロースのことを大人達に訊いても何も教えてくれなかったのも当たり前だ。大人達はサンタと出会ったことがないのだから、それはしょうがない。だから、実は大人達はサンタのことを何も教えることができないのだ。ただ、サンタのことを本当に知らないだけなのだ。

 サンタが現れているときには大人の姿は見えず、大人が現れているときにはサンタは現れない。だから、大人達はサンタのことを知らない。そう単純にそれだけのことだ。ただそれだけのことだ。    だけど、もしかしたら本格ミステリー大好きの名探偵コナンのような子供であれば、そこに何かのトリックでも思いつくのかもしれない。   それでも、そんな名探偵コナンのような子供だってきっといつかは…
 

2001-01-06[n年前へ]

二十一世紀の有害サイト 

有害と無害の境界線!?

 正月休み明けの初出勤日のことだ。いきなり、こんな感じで声をかけられた。
「ついに公式認定されたな!」
「一体何ですか?年明け早々?」
「有害サイトのウェブマスターになった気分はどうだい?」
「な・なんと、それはホントにホントですか?人畜無害を絵に描いたような私こともあろうに有害サイトのウェブマスターですか!」
 話は簡単、私の勤務先からwww.hirax.netがアクセスできなくなったのである。hirax.netもついに有害サイト公式認定されたのである。

 といっても、実はなんとなく予想はしていた。去年の聖なるクリスマスの日にサンタの贈り物ならぬ「業務とは関係のないWEBサイト(公序良俗に反していたり、娯楽・趣味性の高いもの)のWEBサイトの閲覧を制限するからね」という全社通達が送られてきた時から、薄々予想はしていたのである。
 そして、それだけでなく二十一世紀の記念すべき初日に

 毎日会社の昼休みにwww.hirax.netを見るのを日課としていましたが、(ちなみにFirst&Fast、今日の必ずトクする一言も)あまりにも面白いので会社の女性達に本サイトを教えてしまいました。案の定、ハマッタ彼女たちは狂ったように見つづけたようです。
 その数日後、昼休みにwww.hirax.netを見ようとブックマークをクリックすると、なんと、画面にはあのエロサイトなどを見ようとすると現れる、フィルターソフトの画面が...www.hirax.netをエロサイトと同等に扱うのか?何故だ?!内容をよく読んだのか?いや読んだからか?オッパイ星人がいけなかったのか?ピストン桑田か?
 彼女たちが見すぎたのが原因なのかどうかはわかりませんが、IMに抗議も出来ず、しょうがなく自宅で見るようにしています。会社で思う存分見ることが出来る方々が羨ましい...
というありがたいメールをもらっていたので、その予感はますます強くなっていたのである。

 何はともあれ、ついに二十一世紀になった私の勤務先からhirax.netにアクセスするとこんな画面が出るようになったのだ。昼休みにアクセスするくらいいいじゃないのと個人的には思ったのだけれど、そんなつぶやきは情報システム(仮名)に通じるわけもなく、当然のごとくアクセスできないのである。
 

某所からwww.hirax.netにアクセスすると…

 まぁ、別に私自身は勤務先のネットワーク内からhirax.netにはアクセスしないから良いのだが、hirax.netが有害サイト公式認定されたからには他のサイトがどうなっているのかは知りたいところである。いい子を絵に書いたようなhirax.netが有害サイトに公式認定されたからには、世の中は有害サイトで溢れているに違いないのである。

 そこで、まずは調べてみたのが「今日の必ずトクする一言」である。www.tomoya.comとキーを打ち、期待と共にリタ〜ンキ〜を力一杯押す…と、

おっ?、ちゃんと表示されるぞ…
こんな実に的確な指摘があったりするので、てっきり有害サイト殿堂入りしているかと思ったが、う〜む、「今日の必ずトクする一言」はOKか。まぁ、確かにそうかもしれないな。エコロジーを考えるならここは非常に参考になるものなぁ… うん、確かにそうだ。良いところは良いのだ。確かにそうだ。

 と思いつつ、じゃぁ「Fast &First」はどうだ?ことある毎に法律*****をしてそうなここならどうだ、と思いhttp://www.cds.co.jp/ff/リタ〜ン…と?

あぁ?やっぱり、ちゃんと表示されるぞ……

ってことは、有害と無害の境界線は結構正しいのかぁ?と私はちょっと弱気になった。し・しかしである。

アレ?Fast&First情報掲示板には入れないぞ?
だ・だ・だけど
Fast&First動物と熱帯魚の掲示板には入れるぞ〜?
何だこりゃぁ?

 そうか、「Fast & First情報掲示板」は有害で「Fast & First動物と熱帯魚の掲示板」は無害か!なるほど、たしかにそう言われればそうかもしれない。有害と無害の境界線は「Fast& First情報掲示板」と「Fast & First動物と熱帯魚の掲示板」の間にあったのか!「Fast& First動物と熱帯魚の掲示板」はエコロジーだから無害で、よくわからないけど「Fast& First情報掲示板」は公序良俗に反していたり、娯楽・趣味性の高い有害サイト(ちょっと大げさだけど)だったのか。「Fast& First情報掲示板」は私も昼休みに勤務先からよく覗いていたが、有害サイトだとは知らなかった。うん、実に勉強になった。

 じゃぁ「数々のアヤシゲな実験」をしている「突撃実験室」はどうだ!ここなら、きっと期待に答えてくれるだろう。うん、答えてくれるに違いない。http://www.exp.org/リタ〜ン…と?

と・と・突撃実験室もお・お・おっけ〜ですかぁぁ!?
なんてこったい。上の文字の通り私は思わず叫んでしまった。そして、無茶苦茶ロンリ〜な気分になった。「オマエだけは信じていたのに〜」と泣きたくなるような気分である。
ホントにホントにおっけ〜ですかぁぁ!?

ってことは、有害サイトはhirax.netと「Fast & First情報掲示板」だけか…なんてこったい。

 というわけで、「いわゆるひとつの実験?系サイトにおける有害と無害の境界線」を描いてみたのが次の図である。
 

いわゆるひとつの実験?系サイトにおける
有害と無害の境界線

 こ・これはちょっと何だぞ。有害サイト仲間をもっと見つけないと、むちゃくちゃヤナ感じだ。何か「オレは腐ったミカンじゃねぇ〜」とか叫びたくなってきたぞ、と。

 というわけで、「ただいま実験中」の「実験・調査系HP、傾向分析図」にでてるサイト達に勤務先の「有害・無害チェッカ〜」を通してみたのが次の図である。
 

実験・調査系WEBサイトにおける
いわゆるひとつの有害・無害分布

 へ・へ・へ(矢吹ジョー風の乾いた笑い)…有害仲間がいたぞ、いたぞ。「みんなきてKOIKOI」も「なんでも実験室」もみ〜んなみ〜んな有害サイトだ。無害サイトもいっぱいいるけど、とりあえず、有害サイトは結構いるじゃないの。「できるかな?」と「Fast& First情報掲示板」だけじゃないもんね、っと。

 しかし、じっと見てみるとなんだか大雑把な傾向があるじゃないか。頭で勝負しようが体を張ろうが何をしようが「結果重視」のサイトは有害で、「過程重視」のサイトは無害か!なんだかよくわからない基準だけど、そういう基準の企業は実際のところ多いかもしれないしなぁ… お?お?おやぁぁ??

おぉおぉ…!
せ・せ・性と愛研究所は無害ですかぁ!?!?!?…
性と愛研究所は無害でできるかな?は有害ですかぁ… 「胸は揉んだら大きくなるのか」が無害で「恋の力学」は有害ですか!なんてこったい… オッパイ星人がいけなかったのか?ピストン桑田か?ションベン小僧か?ミニスカートか?スクール水着か?透け透け水着か?…(以下、省略)
 
 

 そんなわけで、その後同僚達から集まってきた情報を集めると以下のようになった。例えば、テレビ局のWEBサイトの有害と無害の境界線はこんな感じだ。
 

テレビ局のWEBサイトの有害と無害の境界線…

 そう、NHKは無害だけど、その他は有害なのである。実にスッキリとした有害と無害の境界線である。これはNHK以外はコマーシャリズムに毒されてるから有害なのか?スゴイ!マルクスが聞いたらきっと泣いて喜ぶに違いない…あるいはキムジョ(以下、都合により削除) やはり、無害と言えば国営放送に限るのだ。その他の有害放送局の情報なんか見てはいけないのである。そういう情報はシャットしなければならないらしい…
 

 じゃぁ、日本を支える自動車会社のWEBサイトの有害と無害の境界線はどうか、というとこんな感じだ。
 

自動車会社のWEBサイトの有害と無害の境界線…

 そう、光岡自動車以外はほとんど有害サイトなのであった。大企業は悪で中小企業は正義なのである。男たるもの弱きを助け、強きを挫かねばならぬのであった。大企業は有害で光岡自動車は無害なのである。判官贔屓の日本魂炸裂である。日本人の鏡である。誠に頭が下がる思いだ。
 

 他にも朝日新聞は無害だけど、日刊スポーツは有害だとか、日記猿人(才人)は無害だけどReadMeJapan!は有害だとか、秋月電子は無害だけど秋葉館は有害だとか、笑える境界線は数限りなくたくさんあるのだけど、とりあえず今回はこのあたりで満足することにしよう。とりあえず、アクセス数の多いところは根こそぎNGてな感じかなんだろうな。おっ!?ってことは、アクセスログ片手に人が見ながら判断したのかぁ?それはそれでかなりスゴイものがあるぞ…信じられないような気もするが…
 

 というわけで、該当する某所の人はテキトーな経路、例えば、

とかでアクセスして下さいな、と伝言をしておきます。anonymizerがOKってのもおマヌケですが。とりあえず、アクセスできるので。ハイ。

 それにしても、二十一世紀ってこんな時代だったのだろうか? 何故1984年は1984のようにはならないか、あなたはわかるはずだ。」と言われたのはもうすでに二十年近く前の話だ。あのコマーシャルの中でBIGBROTHERは延々と「害ある情報を隠せば、我々は安泰で、そして繁栄していくのだ」と演説していた。そのBIGBROTHERは走ってきた女性の投げたハンマー、言い換えれば個人が使うコンピューター、が壊した。情報が駆けめぐってる今日はあの延長上にあると私は思うのだ。そしてまた、二十世紀に生まれた人間としては、二十一世紀には素晴らしい世紀になって欲しいと少しばかり夢を抱いていたりするのである。
 
 

2001-04-01[n年前へ]

季節外れのサンタクロース 

 今日のサイト。(リンク

2001-12-22[n年前へ]

期間限定サンタが街にやってくる' 

 普段書いたものを見直しはまずしない私ですけれど、以前書いたものを見直してもう一度載せ直すのも、「期間限定」であればたまには良いかな、と…
 話が200本を超えると、読んでいない人ももしかしたらいるかもしれないし。(リンク

2001-12-24[n年前へ]

サンタが街にやってくる 

複数サンタクロースの巡回問題

 簡易に書き直した2011年版もあります。


 幼い頃、クリスマスの夜を清里の聖ルカ教会で過ごしたことがある。今では、「アイスクリーム」で有名になってしまった聖ルカ診療所の隣の教会だ。清里を通る小海線が蒸気機関車からディーゼル列車に切り替わった頃だった。私の住んでいた野辺山から一番近い病院がその聖ルカ診療所だった。今はどうなのか判らないけれど、あの病院の中の風景はまるで高原の療養所のようで(高原の診療所なのだから大して違いはないのだけれど)、とても不思議だった。

 さて、クリスマスの人気者と言えば、やはりサンタクロースである。世界中の子供達から待ち焦がれられ、プレゼントを配って歩くのだから、クリスマスイヴのサンタは大忙しなのである。一体、サンタクロースはどんな風にプレゼントを配って歩くのだろう、と思った私は「サンタクロースの巡回問題」について考察をしてみることにした。

 知らない人のために書いておくと、「巡回サンタクロース問題(TSP:TravelingSanta Problem)」というのは「巡回セールスマン問題(TSP:Traveling SalesmanProblem)」の特殊例である。そもそも「巡回セールスマン問題」というのは「n人の顧客の場所が与えられたとき、全ての顧客を一回ずつ経由して巡回する際に、移動距離が最小になる経路を求める。」という問題である。計算幾何分野で最もメジャーな話であって、カーマーカー特許などこれに関係するものである。つまりは、色々なものを配達する際には「配達経路を考えるのは実は結構大変なのだ」という問題なのである。
 

 これまで「巡回サンタクロース問題」を考えた人がいなかったか、と言うとそんなことはなくて、試しにinfoseekで"サンタ"AND"巡回"で検索すると、既に素晴らしい研究がなされている。それが

である。サンタクロースの行動について詳細な考察がされており、その中で「巡回サンタクロース問題(TSP:TravelingSanta Problem)」について触れている。考察大好き人種ならとても楽しめる内容である。
 

 そこで、そんなこれまでの「巡回サンタクロース問題」に関する研究を踏まえながら、「できるかな?」ではさらに「サンタクロース巡回問題」を考え、そして、できることであればサンタの隠された真実にさらに迫ってみようと思う。「サンタクロース巡回問題」の中には、サンタクロースの真実に近づく鍵が含まれている、と私は何故か感じるのである。

 まず、始めに問題提起をしてみよう。

 「果たしてサンタは一人なのか?」

 どのような事件においても(別に事件ではないが)、単独犯か複数犯かというのはとても重要な問題である。犯人が単独犯か複数犯かで証拠の指し示す意味は異なってくる。サンタは一人、と私たちは何故か思い込んでいるが、そんな先入観は正しい捜査のたまには捨てる必要がある。

 そこで、まずはサンタの歴史から調べてみると、Santaさんの起源クリスマスページ!によれば、サンタクロースの起源であるSt.Nicolausは西暦4世紀頃の人であるという。その頃の人口は現在よりもはるかに少なかった。それは、サンタの労働量がはるかに少なかったということだ。なるほど、この時代であれば、サンタは一人でも不思議ではないかもしれない。

 とはいえ、Santaさんの起源の中の色々なサンタの目撃情報を見ると、本当にサンタは一人なのか疑問を感じるのもまた確かである。色々なサンタが目撃されている、ということはサンタは実は複数犯の可能性が高いのではないだろうか?

 また、世界の人口は人口増加に示されている全世界の人口増加の様子を見れば明らかなように爆発的に増えている。ちなみに、そこに示されているグラフを対数軸にし、近似式を加えたものが以下である。
 

全世界の人口増加の近似グラフ

 St.Nicolausのいた西暦4世紀頃に比べて現在の人口は4桁、すなわち、10000倍に増えている(近似式によれば。ホントのところは知らない)。これでは、サンタクロースは年々仕事量が驚異的に増えていることを意味する。もし、サンタが単独犯であるとするならば、過労死はまぬがれそうにない。

 サンタの単独犯説に対する疑問は「サンタクロース巡回問題」からも示される。N人の顧客(今回の例ではN人の良い子供)が与えられたとき、サンタが計算しなければならない経路の総数は(N-1)!/2で与えられる。2で割っているのは「対称巡回サンタクロース問題(A家からB家間での距離と、B家からA家間での距離が同じという性質がある場合)」であるからだ。

 子供の家N=100までの場合の、サンタが計算しなければならない経路の総数(N-1)!/2を以下に示してみる。
 

子供の家N=100までの場合のサンタが計算しなければならない経路の総数
横軸=N、縦軸=計算しなければならない経路数

 どうだろうか、Nが少し増えると爆発的にサンタが計算しなければならない経路の総数(N-1)!/2が増えていくのがわかると思う。一軒多くなるだけで、ものスゴイ数の計算をしなければならなくなるのである。サンタが実際に配達して回るのも大変だが、その前に配達経路を決める計算量は実はもっと大変なのである。

 先の人口増加の割合をこれに加えるならば、「サンタが計算しなければならない経路の総数」は天文学的数字になることは明白である。

 そこで、私はやはりサンタ複数犯説が真実に近いと思うのである。サンタ複数犯説が正しいとするならば、ッ実はこの「サンタクロース巡回問題」は遥かに容易に解くことができるようになるのである。

 それでは、複数サンタがいるときの「サンタクロース巡回問題」を考えてみよう。サンタが複数のm人いる場合を考える≠ニA「サンタが計算しなければならない経路の総数」はm*(N/m-1)!/2で示される。
 一例として、サンタが1,2,10人の場合を示してみる。
 
 

複数サンタがいるときの
子供の家N=100までの場合のサンタが計算しなければならない経路の総数
横軸=N、縦軸=計算しなければならない経路数
黒=サンタが一人
緑=サンタが二人
紫=サンタが十人

 このグラフからサンタが複数いる場合と、単独の場合とで巡回経路を考える手間が全然違うのがわかるだろう。サンタが2人いると、計算量は半分になるのではなく、ものすごく少なくなるのである。

 実際の巡回においての仕事量は、サンタがm人いれば1/mになる。しかし、その前準備はサンタがm人いれば((N-1)!/2)/(m*(N/m-1)!/2)分の一になるのだ。簡単に言えば、メチャクチャ楽になるのだ。サンタが一人では事実上サンタがプレゼントを配ることは不可能だけれど、複数犯であれば容易にプレゼントを配ることができるのだ。

 このように「複数サンタクロース巡回問題」を考えることにより、サンタは複数いることが明らかだと私は思うのだ。

 ただこれだけでは、不十分だ。全世界の子供達も年を経るに従って、爆発的に増えている。サンタが複数いるにしても、それでもやはり大変だ。サンタ達の人数も爆発的に増えていかなければ、とてもじゃないがやってられないことだろう。

 それを解決する一つの答えはこうだ。「子供が増える割合に従って、サンタも増える」と考えるのだ。子供が一人増えると、サンタも一人増えるのだ。そうすれば、何の問題もない。子供が一人現れると、サンタも一人増えるのであれば何の問題もなくなる。

 ところで、「子供が一人現れると、サンタも一人増え、サンタの数が子供と同じ比率で増えていく」ということは、子供たちがいずれサンタになるという考えが自然だとは思えないだろうか。そうだ、子供達がサンタになるのだ。子供達が大人になって、そしてサンタになるのだ。

 もしかしたら、それはサンタという名前ではないのかもしれない。普段は他の名前で呼ばれているのかもしれない。けれど、クリスマスだけはサンタという名前になるのだ。電話ボックスで着替えるちょっと情けないスーパーマンのように、クリスマスイヴだけは彼らは変身するのだ。

 こうして、サンタ達は子供の枕元にやってくる。むかし子供だったサンタ達が子供達の枕元にやってくる。そして、夢を見ている子供達が起きてしまわないように、そっと枕もとにプレゼントを置く。

 サンタなんかこれまで私の枕元には来なかった、という人たちも多いのかもしれない。けれど、きっと、そんな人たちもまたサンタになっていくのだろう、そして、その時、本当にサンタがいる、ということに気づくのだろう。
 



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