hirax.net::Keywords::「世界地図」のブログ



2001-07-01[n年前へ]

小さな掌に未来の地球儀をのせて 

この手で地球を作ってやろう

 先日、「サラリーマンとして会社に入ったからには社長を目指すのが当り前」と言う人とじっくりと話をしていた。まぁ、その話の内容はそれはそれで結構面白かったのだけれど、何故かその時私は映画の1シーンを思い出してしまった。チャップリンの映画「独裁者」の中で、世界制覇を目指すヒンケルが地球を模った風船を抱きしめようとして、結局その風船を割ってしまうあのシーンである。

 私と話す相手の背中のずっと向こうにその地球の風船を眺めながら、私はそれとはちょっと違う地球儀をさらに思い浮かべていた。それはこんな正二十面体の小さな地球儀である。正二十面体の表面に地球の表面の写真を描いたものだ。
 

小さな正二十面体の地球儀

 大学の教養の頃だったか、それとも大学院に入ってからだったか覚えていないのだけれど、こんな「正二十面体の地球儀」を先生の一人がよくポケットから出して使っていた。それは、もしかしたら今考えてみればFullerが作ったDymaxionMapに影響されたものかもしれないし、その先生が独自に作ってみたものかもしれない。その辺りのことも聞いたことがあるような記憶もあるのだけれど、聞いた内容はもうとっくの昔に忘れてしまった。ただ、ポケットから小さな地球儀を手品のように取り出す仕草がとてもかっこよく見えたことは覚えている。

 小さな、だけど立派に地球儀の役を果たす正二十面体をサッとポケットから取り出す仕草は、まるでのび太のために秘密道具をポケットから取り出す「ドラえもん」のようだった。もしかしたら、私に「独裁者」のヒンケルより大それた「ドラえもんになりたい」という野望を持たせるに至った理由の一つは、その小さな正二十面体の地球儀にもあったのかもしれない。
 

 その先生が自分で作って持っていたのは、たった一種類の地球儀だけだった。だけど、そんな正二十面体の表面に色んな写真や地図、例えばそれは衛星写真であったり、国別に塗り分けられた世界地図であったり、あるいは月の表面の写真であったり、を貼り付けて色々な地球儀や月儀を作ってみたい、とその頃からずっと思っていた。そこで、そんなことができそうな道具を探してみると、

にある「緑の地球」なんかを使えばできそうな感じである。しかし残念ながら、動作環境OSがあの素晴らしき「超漢字」なのだった。超漢字というネーミングも実に素晴らしいが、OS自体も素晴らしすぎて、もったいなさすぎて、私は未だ使ったことが無いのである。それどころか、未来永劫これからも使うことが全く無さそうな気がするくらいなのである。これでは、残念ながら「緑の地球」を試すことができない。

 しかし、少しばかり考えてみれば「道具をサッとポケットから取り出すドラえもんになりたい」と野望を持つくせに、道具を探すばかりではあまりに恥ずかしい態度ではないだろうか。ドラえもんが人の道具に頼ってばかりでどうする?というわけで、急遽そんなことができるソフトを作ってみた。それがこのIcosahedronである。というわけで、いつものごとく「必要は発明の母」で「父は私」なのである。

 とりあえず、このIcosahedron.exeを使うと、Windows Bitmapファイルとして保存されたメルカトル図法の地図を、正二十面体の展開図に変換した後に、Bitmap画像に保存することができる。

 Icosahedron.exeの使用手順は次のようになっている。いつものように「動いてしまえば、ハイそれまでよ」というプログラミング態度なので、ボタンを押す順番が違うと動作しなかったりするけれど、その時は単に動かないだけで、大した問題はないと思う(多分)。
  1. Loadボタン → メルカトル図法で描かれた地図ファイルを読み込む
  2. Resizeボタン → 作成する正二十面体のサイズを決める。プリンタでの出力解像度、正二十面体の直径(とは言わないかな)を決める。
  3. Convertボタン → 正二十面体の展開図を作成する
  4. Saveボタン → Windows Bitmapファイルとして正二十面体の展開図を保存する
Icosahedron.exeの動作画面

 画面の上半分に読み込んだメルカトル図法の地図が表示され、画面の下半分には作成した正二十面体の展開図が表示される。もっとも、正二十面体の展開図の「のりしろ部分」は一部表示をはしょっているので、下の訂正図を参考にして切り取って欲しい。
 

「のりしろ部分」の訂正図

 上の図のような正二十面体の展開図をプリンターで出力して、さらにそれを切り取って、正二十面体の地球儀を組み立ててみたものが下の図である。
 

作成して切り取った正二十面体の展開図(左図)と
それを組み立てた正二十面体の地球儀(右図)

 ところで、私がかつて在籍していた研究室は「理学研究科 地球惑星科学専攻地球物理学分野 測地学講座」という名前なのである。その名前を見れば一目瞭然、私はまさに「地球を描くための英才教育」を受けてきた?のである。「その実力を見せてやれ」というわけで書いてみたのが下の図だ。これが「私の世界地図」である。
 

これが私の世界地図

 確か地球ってこんな感じ?というわけで書いてみたのだが、どうもおかしい。いや、はっきり言えばかなりヘンである。アメリカ大陸の辺りなんかむちゃくちゃ無理がある。コロンブスが使っていた大航海時代の(アメリカなんかなかった頃の)地図の方がよっぽど正確に違いないのである。そう私には地球を描く実力なんかはなから無いのであった。そう、哀しいけれどこれっぽちも無いのである。

 いや、そんなことはどうでもいいのだ。とりあえず、私の世界地図を使って「私だけの地球儀」を組み立ててみたのが下の写真である。
 

これが「私だけの地球儀」

 まるでSF映画の異世界の星みたいな感じになってしまったが、誰が何と言おうとこれが「私だけの地球儀」なのだ。世界にたった一つの私だけの地球儀なのである。

 もちろん、私には私だけの地球儀があるが、それは誰しも同じハズである。十人十色、十人の人がいれば十個の地球儀があるはずだ。だから、こんな「私の地球儀」だけではなくて、これを読んだ方はぜひぜひ色んな地図を書いたり、手に入れたりして、色んな地球儀(それとも月儀、メルヘンちっくな人だったら例えば「星の王子さま」の「星儀」なんてのもいい感じかも…etc.)を作成してみてもらいたいなと思う。

 そして、特に世界地図を覚えているわけもない小さな子供達に世界地図を書かかせてみて、そしてこんな正二十面体の地球儀を組み立ててみたらきっと面白いことだろう、と思う。「独裁者」の中のヒンケルみたいに地球の風船を抱きしめて遊ぶなんて、とてもイヤな感じだ。けれど、小さな子供達がそれぞれの世界地図を描いて、その世界地図で正二十面体の地球儀を作って、そしてそれぞれの小さな掌にその正二十面体の地球儀をのせて遊ぶ、なんてのはとても素晴らしく良い感じだと思う。

 子供達がどんな世界地図を描くかは想像もできない。きっとずいぶんとヘンテコな世界地図がイッパイ出来上がるに違いない。そして、そんな世界地図から生まれる地球儀だって、奇妙奇天烈なものになること間違いなしだ。
 だけど、その地球儀はもしかしたら未来の地球儀かもしれない。だって、子供達が未来の地球を作るということも、それもまた事実なんだから。子供達が小さな掌に未来の地球を乗せて作っていくのだから、この正二十面体の地球儀は本当に「未来の地球儀」に違いないと思うのだ。
 
 

2002-10-20[n年前へ]

街の灯 (City Light) 

人口密度と夜の光

 先日、こんな綺麗な画像を教えてもらった。人工衛星(DMSP)から撮影された地球の夜景だ。世界中の色々な街が光り輝いていて、とても美しい景色が見える。この下に貼り付けてある写真はとても小さい写真なのだけれども、オリジナルの写真を眺めていると、色んな国の街の灯が目の前に浮かび上がってくるかのように美しい景色に見える。
 

人工衛星(DMSP)から撮影された地球の夜景( City Lights )
( http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/ap020810.html)

 他にもこの衛星を利用した画像は眺めることができて、例えば画像サイズが(30000×15000)なんていうものさえ眺めることができる。そんな大きな画像だと、世界中に散らばる「それぞれの街の灯」がそれぞれ別に浮かび上がってくるようにさえ見える。そんな夜景の世界地図を「何て美しい景色なんだろう」とワクワクしながら、自分がよく知っている日本列島周辺を眺めていると、何だか不思議な景色が目に入ってきた。何だか眺めている景色の中に小さな違和感が見えてきたのだ。おそらく、日本周辺を眺めてみればきっと誰でもその不思議な景色に気づくに違いない。
 

日本周辺の夜景

 そう、朝鮮半島が何だか少しヘンなのである。韓国と中国の灯に挟まれた辺り、つまりは北朝鮮が真っ暗なのだ。「光り輝く」「偉大なる首領様」のいる国とは思えないくらいに真っ暗なのである。ワタシは「偉大なる首領様」はてっきり無意味に飾ることが大好きなのかと思っていたが、どうやら東京電力のでんこちゃん並に省エネ・電気の節約に励んでいるのだろう。北朝鮮は省エネ先進国だったのである。あるいは、もしかしたら北朝鮮は中国の奥地並みに人口密度がとても低く、街なんかほとんどなくて、だから夜の街の灯なんか無いだけなのかもしれない。
 そうでないとしたら、この夜景はとても何か不安になる景色だ。

 そこで、「世界の人口密度分布」を眺めてみることにした。それが下の世界地図画像である。灰色の地域は人口密度が低くて、白色が中くらいの人口密度で、紫色の地域はとても人口密度の高い地域だ。
 この世界の人口密度分布を眺めてみると、北朝鮮は決して人口密度が低いわけでなくて、単に「人口密度の割に夜の街の灯はとても暗い」ということが判る。北朝鮮には多くの人が住んでいてきっと多くの街があるにも関わらず、夜の街は真っ暗なのだ。そんな不安になる国が、「光り輝く」「偉大なる首領様」のいる国だったのである。
 

世界の人口密度分布

 ところで、そんな「人口密度の割に夜の街の灯はとても暗い」地域は決して北朝鮮だけではないだろう。日本のように「人口密度が高くて夜の街の灯も輝いている」わけではない場所が世界中にはたくさんあるはずだ。人工衛星から撮影された地球の夜景地図では、そんな「夜の街の灯がとても暗い」地域は見えてこないのだけれども、世界地図の中には、そんな地域が散らばっているはずだ。

 世界地図の中に散らばるそんな地域を目の前に浮かび上がらせるために、最初の画像「人工衛星から撮影された地球の夜景」と「世界の人口密度分布」の二枚の画像を利用して、画像解析により「人口密度に対する夜の街の灯の明るさ」を算出してみた。それが下に示した画像だ。ここで、黄色で示した地域は「人口密度の割に夜の街の灯はとても暗い地域」で、紫色で示した地域は「人口密度は高く、夜の街の灯も輝いている地域」である。

 黄色い地域は北朝鮮のように「人は多くいるのに夜は真っ暗で華やかな街の灯りなんかない」地域で、紫の地域はアメリカやヨーロッパ、そして日本のような「人口密度の割に夜の街の灯りが輝いている」地域である。
 

「人口密度に対する夜の街の灯の明るさ」

黄色の地域: 人口密度の割に夜の街の灯はとても暗い地域
紫色の地域: 人口密度の割に、夜の街の灯も輝いている地域

 こうしてこの結果の世界地図を眺めていると、アフリカを中心としてアジア周辺にも「人口密度の割に夜の街の灯はとても暗い地域」が広がっているようすが見えてくる。特に、「人工衛星から撮影された地球の夜景」では闇に埋もれていたアフリカの辺りがこの世界地図の中では黄色くはっきりと浮かび上がってくる。
 

 「人工衛星から撮影された地球の夜景」=「街の灯」を一番最初に眺めた時には、こんな黄色い地域は見えなかった。明るく綺麗な夜景は見えていたけれど、こんな「多くの人がいるのにとても暗い地域」はあの写真には写っていなかった。少なくとも私には見えていなかったように思う。
 だけど、今は最初に眺めたあの「地球の夜景」の写真の中からだって、とても綺麗なだけの「地球の夜景」とは少しだけ違う「街の灯」が見えてくるような気がする。そう、ちょうどチャップリンの「街の灯」に登場する花売り娘、見えなかった目が治り、見えていなかった景色を目の前にした娘のような気分だ。少しだけ夜目がきくようになった私には、前とは少し違うそんな「街の灯り」が見えるような気がする。人工衛星からの写真には写っていなかった「街の灯」が見え宇ような気がする。 あなたはどうですか?あなたは見えるようになりました?

"You can see now?"

2004-03-20[n年前へ]

35°N 135°E  

 緯度と経度の格子点で写真を撮り、それらの写真を集めた世界地図を作製するというdegree confuluence projectの日本を眺める。35°N 135°Eを眺めたりすると、松本清張のDの複合を思い出したり。 from COULD

2004-04-25[n年前へ]

「見たのかオマエ?」「いや見てないけど」のバスト形状を勝手に決めよう 

胸囲的地図 借力さんの手にかかると、変なもの(wema)も 胸囲的地図として動き出す。胸囲的地図の中では付箋の位置情報が見事なまでに活用されている。

 「仲間由紀恵のバストを見たのかオマエ?」とツッコまれても、そこはやはり「いや見てないけど、勝手な印象で…」として答えるしかない。行ったことのない世界の地図を書いてみてもバカ世界地図になってしまうように、見たことのないバスト形状を勝手に決めたらバカ胸囲的形状地図ができてしまう。それはまさにキョーイの世界。

 できるならば、本人達による「思いこみ胸囲的地図」も見てみたい。本人達の「希望・理想」が見事なまでに反映された「思いこみ胸囲的地図」も同時に眺めてみたい。それもきっとキョーイな世界。

2004-09-22[n年前へ]

SPAMメールの送信元で世界地図 

 SPAMメールの送信元で世界地図. from Y's Memo



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