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2010-02-20[n年前へ]

Mathematica Playerで任意の多面体の展開図のペーパークラフトを作ってみよう 

 さまざまな多面体を眺めて、その展開図を自由自在に眺め、そして任意の(お好みの)サイズで印刷することができるノートブックをMathematicaで作ってみました。自分の手で触れる・実感できることを形にしてみたくて、ふとそんなものを作ってみました。

 そのノートブックを使っているようすを映したものが、下の動画になります。無料で使うことができるMathematica PlayerをWolframからインストールして、 ここからMathematica Playerに対応させたノートブックをダウンロードすれば、実際にありとあらゆる多面体を眺め、そしてその展開図を扱うことができます(展開図を作成することができない多角形もあります)。

 (起動すると現れるスライダーで)サイズを丁度良いサイズに変化させて、そして、印刷して適当にのりしろをつけて、ペーパークラフト多角形を作ってみても面白いのではないでしょうか。

2016-07-23[n年前へ]

懐かしい立体風景を平らな葉書で送ってみたい!? 

 クリエイターEXPO 2016 でマスダユタカさんのフォト・ポ(フォトポップアップ)を眺めた。15年くらい前、重ね合わせることでパノラマ世界を作り出すかのような路上写真、(マスダユタカさんらの) 非ユークリッド写真連盟による「フォトモ」がとても面白かったことを思い出しながら、ミニチュアな実写風景を平らな紙で作り出し・その立体風景を手で動かせることが心地良く感じた。

 同じペーパークラフトの引き出しに入るかもしれないけれど、山岡進さんの起こし文(おこしぶみ)はノスタルジックなのだけれど新鮮で、とても素晴らしかった。特にたくさんの懐かしい昔のお店を形作った葉書は、それらを並べ、昔の街並みを思い起こしてみたくなる。

 スマホで撮った風景写真を、平面の葉書に閉じ込めて、けれど後でインスタントラーメンみたいに簡単にホカホカ立体状態に戻すことができるツールがあったら面白いかもしれない。…今なら、目の前にある風景の色や明るさだけでなく距離を撮影することも簡単にできるから、そんなものを作ってみたくなる。

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2016-12-11[n年前へ]

「平面的に見える満月」と「立体的な月蝕」の秘密 

 太陽と正反対の空に浮かぶ満月は、とても平面的に見える。まるで、真っ平らな円を切り抜いて、夜空に貼り付けたように見える。白いピンポン球を手に持って、光を当てながら眺めたときのような、「中央近くは明るくて、周辺部分が滑らかに暗く落ち込む陰影が付いた、立体感ある見え方」にはならない。

 球の周りが徐々に暗くなる陰影は、物体表面に当たった光が、表面から外に帰っていく際に、周囲に等しく方向性を持たず返される時に生じる。そんな条件では、球の中心から端部までコサイン関数状の陰影が生じる。それでは、遙か古代に信じられていた平面状の月でなく、現実には3次元球体であるはずの月が陰影無く、真っ平らに見えてしまうのだろうか。

 その秘密は、月表面の反射特性にある。月の表面は、その表面を照らす光を、その光が発された方向へ返す性質があるからだ(Diffuse Reflections from Rough Surfaces )。満月の時、月を基準にすると、月を照らす太陽は地球の後ろにある。そして、月を照らす太陽と同じ側に浮かぶ地球から月を眺めると、月の表面反射特性は「陰影がほとんどない、真っ平らな平面状の満月」を空に浮かび上がらせることになる。

 自分を照らす光を、その光が発された方向へと返す再帰性反射と呼ばれる性質は、急峻な凹凸の表面形状や(交通標識などで使われる)透明ビーズ(やキャッツアイ)など、多くの材質で現れる。再帰性の反射性質が現れる理由は、たとえば、前者の急峻な凹凸形状の場合であれば、斜めから当たる光も、表面が急峻な凹凸形状*であれば、斜面(の法線方向に対し)垂直近くに光が当たり、その光が元来た方向へと帰って行きやすくなるからで、後者の透明ビーズでは、ビーン内部の反射により光が元いた場所へと戻っていくからだ。

 通常の満月がとても平面的に見える一方、同じ満月の時期に稀に訪れる皆既月蝕中の月は、とても立体的に見える。それは、太陽からの光を地球が遮りつつ、けれど地球大気が屈折させた太陽光は、月表面を見事なまでな立体的でグラデーション豊かな、名カメラマン顔負けの素晴らしいライティングとなる。

 次に日本で見ることができる皆既月蝕は2018年1月31日らしい。その満月を見ることができたなら、立体感溢れる月を眺めてみたいと思う。


*そうした形状の表面反射を表したモデルが、Oren–Nayarの反射モデル

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