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2010-04-18[n年前へ]

「さがしもの」は何ですか?見つけにくいものですか? 

 何年か前、「自分探し」が流行った。「自分」というものがどういうものなのか、よくわからないままに、そんなよくわからない「自分」というものを探すブームがあったような気がする。

 何かを求める人がいるなら、何かに対するニーズがあるのなら、つまり、需要があるのなら、そこに供給者が現れる、というのがよくある状況だと思う。

 自分を探す人が数多くいるのなら、「(その人たちが求める)自分」を、よりどりみどりに並べ売る、そんな供給者が現れるに違いない。そんな「自分」を売る店は、さぞかし繁盛するに違いない。「自分」というものは、きっと売れる「商材」に違いない。

 …と、そんな風に考えてみると、本屋に並ぶ自己啓発本は、まさにそんな「(その人が求める)自分」を売る本であるかのように思えてくる。本屋に並ぶ本の多くは、自分探しをする人のために、「その人が求める自分」を提供するための本なのかもしれない。それを、言い換えるなら、本屋で私たちがそんな本を手に取るとき、無意識のうちに(かつて流行った)「自分探し」をしているのかもしれない。

 「自分探し」ブームの頃、同時に、「自分隠し」ブームも流行っていたような気がする。「自分隠し」ブームというものがあったとしたなら、そこには一体どんなものを供給するものが現れるのだろう。何かを隠す森のようなものを供給するものが現れるのだろうか。

 それとも、供給者でない何かが、そこでは必要とされるのだろうか。



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