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2009-09-06[n年前へ]

「酒税制度」の「シミュレーション分析」 

 「バッドなライフスタイル」と「バッド課税」な時代になるかもしれない、だから、・・・というわけでもないが、「酒税制度改革のシミュレーション分析」(リンク先は.DOCファイル)という論文を読んだ。これが、なかなかに面白い。論文の主題は、酒税改革が、(所得階級別の)家計に対しどのような影響を与えるのかをシミュレーション分析した、というものである。その主題自体も、とても興味深いのだが、歴史的背景・現状などに対する解説が面白く、思わず文章に引き込まれてしまうのだ。たとえば、こんな具合だ。

 戦前ではビールは高級酒として認識されていたことが現在でも影響を及ぼして高い税率が課せられている。現在、ビールを高級酒として認識している消費者は少数派であり、アルコール度が低いという特性と飲みやすさから言っても大衆酒として認識されるほうが多数派であろう。

(2-1 酒税制度の変遷 より)
 「ビール」が高級酒だという意識はなかった。ウィスキーが銀座に似合うなら、ビールは新橋に似合う、そんなアルコールだと思っていた。

 あるいは、こんな一節にも、引きこまれてしまうに違いない。
 酒税は改革によっても内税であるということから消費者に関心があまり持たれないという欠点がある。この欠点について、吉田(2000)は、「酒税は、本来日清、日露戦争の戦費調達や官営工場の拡大等の財政需要の拡大のために、酒類消費の背後にある担税力と課税上の容易さに着目して課税されてきた」としている。

(2-1 酒税制度の変遷 より)

 この論文では、「年間収入五分位階級別(第1分位:低所得~第5分位)・1世帯当たり年間の品目別支出金額,購入数量及び平均価格」やいくつかの仮定から、「所得階級別購入数量での酒税負担率」を算出していく。お酒好きな人なら、この論文をミステリ小説を読むのと同じように読んでみても、結構楽しめると思う。結論までたどり着いたあとの後味は、人それぞれ違うだろうが・・・。



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