hirax.net::Logos::2009-01-25

2009-01-25[n年前へ]

久世光彦の書評 

 本人がどのように考えているかはわからないけれども、斎藤美奈子の書に関する雑文は女性的だと思う。そして、久世光彦のそれは男性的だと思う。女性的・男性的と言っても、それは、たとえば男性的=マッチョというような意味ではなくて、むしろそれとは全く逆の意味だ。つまり、斎藤美奈子は鋭く強く、久世光彦の文章は繊細で後悔交じりの匂いがする。

 人のことは言えないと、いつも自分を戒めながら、ついつい面白くて<書評>を書いて十年になる。人のことを書くのは面白いことなのだ。会ったこともないのに、その人と親しくなれたような気がする。ほんの少しだが、その人の肌に触れたようにも思う。だから私は、解説はしない。筋も書かない。私は<書評>で、その人に熱心に話しかけるだけだ。ーそれでもどこかで、余計なお世話をやいているような、後ろめたい気持ちが残るので困る。

久世光彦 「美の死―ぼくの感傷的読書