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2009-07-02[n年前へ]

寺田寅彦 妻たちの歳月 

 寺田寅彦 妻たちの歳月

 寺田寅彦といえば、戯歌「好きなもの いちご コーヒー 花 美人 懐手して宇宙見物」で知られるように、科学と文学の間を軽やかに往来したスーパー物理学者である。私もまた、耳の中の音や金平糖の話など日常に潜む不思議を題材にした科学エッセーを愛読してきたひとりだ。

 だが本書を読み、寅彦にもっとも似合うのはそのいずれでもなく、晩年の随筆「曙町より」にある「風呂の中の女の髪は運命よりも恐ろしい」という一節だったと知った。

最相葉月 「寺田寅彦 妻たちの歳月 」への書評