hirax.net::inside out::2011年03月01日

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2011-03-01[n年前へ]

「予約録音した深夜ラジオをケータイで聴くこと」こそが「21世紀のウォークマン」だ。 

 パソコンを「そのままラジオ受信機」にすることができるのが「IP(Internet Protocol)サイマルラジオ(radiko)」です。私のiPhoneには、そんなIPラジオを 予約録音するアプリケーションを使って録音した番組が詰まっています。

 太陽が街中を眩しく照らす中、「パパッパ・パッパパパ・パッパパ…」とトランペットが高らかに奏でるメロディとともに始まるビタースウィート・サンバの音楽で彩られたニッポン放送のオールナイトニッポンなどを聞きながら歩けば、まるで自分の周りだけが「深夜遅くのハイテンション」に包まれているような感覚に陥ります。それは少し不思議なタイムマシーンです。

 SONYが「ウォークマン」というものを作り出したとき、とても不思議な感覚に襲われました。ウォークマンに繋がったヘッドホンをかけた瞬間、「周りの世界に響いているはずの音」から切り離されて、まるで「自分の聴きたい音楽だけに一人包まれている」という未知の感覚に襲われました。そこが商店街でも、学校の教室でも、夜のサイクリングロードでも、"Play"ボタンを押した瞬間に、自分の周りの空間を歪ませ「ここではない遠くの世界」に繋ぐ不思議な装置であるかのように思われたのです。

 予約録音した深夜ラジオをiPhoneやケータイで聴くと、まるで自分の周りが「空間だけでなく時間すら歪んでいる」ような気に襲われます。自分の周りだけが、深夜の一時から二時くらいの時間へと、クダラナい話題を心から楽しむことができる時間帯へ誘われるような感覚に襲われるのです。

 だから…と書くのも変ですが、「予約録音した深夜ラジオをケータイで聴くこと」こそが「21世紀のウォークマン」だ、などと思うのです。それは人類の可能性を広げる機器かもしれないし、あるいは、それはアルコールなどと同じある種の麻薬かもしれないし、・・・とそんな風に思います。